連日30度以上の真夏の日々。仕事などで外出する際に、愛猫さんのためにクーラーや扇風機をつけっぱなし、という人もいるかもしれません。猫にもみられるという熱中症について考えてみました。
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「そういえばなんとなく外出時にも猫のためにエアコンをつけっぱなしでした。実際猫に熱中症はどのくらいの頻度で発症するんですかね?」
外出して部屋を留守にする際にエアコンをつけっぱなしにしているという当欄の担当編集者から指示があり、ツイッターでアンケートをとってみました。1日だけのオープンアンケートで、304票中、
1)愛猫が熱中症になったことがある 13%
2)愛猫が熱中症になったことがない 77%
3)熱中症がよくわからない 11%
という結果になりました。10%強の飼い猫さんが、熱中症に陥った経験があると答えており、一定数の猫さんが熱中症を経験していることがわかります。3)の熱中症がよくわからないと答えた方の多くは、愛猫さんがおそらくそういう症状に陥っていないためと思われます。
そもそも猫の平熱は、個体差はありますが一般的に38度台といわれています。人間の平熱が36.6~37.2度くらいなので、猫の方が少し体温が高めです。ご先祖のリビアヤマネコが暑い砂漠出身ということもあって、猫(イエネコ)は人間よりもちょっと寒がりで、人間よりもちょっと暑さには強いようです。
だからといって、猫が夏の暑さが平気というわけでは決してありません。ちょっと高い、といったって、1、2度程度の差です。人間が暑いと感じたら、猫も暑いと考えた方がいいでしょう。猫の体温が39度を超えたら発熱、40度になってしまったら熱中症です。
猫はとても我慢強い動物なので、重症化するまで平気なふりをしている可能性もあります。いきなりぐったりしてしまい手遅れ、なんてことも。愛猫さんの体温は日ごろから気にかけて平熱を把握し、変化にいち早く気付いてあげられるようにしましょう。
アンケートにお答えいただいた方のうち、愛猫が熱中症になったことがあると答えて下さった方々からは、
「ぐったりしていたので水を与えたら勢いよく飲んだ。すぐ動物病院に連れていき点滴をしてもらった」
「嘔吐した。呼吸が少し早く、体も熱っぽいため動物病院に連れて行った」
「口を開けてハアハアしていた」
「いつものように日向ぼっこしていたら体調不良になった。動物病院が休みだったため氷嚢で冷やしたり濡れタオルで拭いたり、凍らせたチュールを与えたら回復した」
「熱があるようだったので濡らしたタオルを体にまきつけ、クーラーと扇風機で冷やした」
といったコメントを頂きました。この季節、毎年多くのペットが熱中症で運ばれてくるようで、ペットの熱中症に対する注意を発信する動物病院が多いようです。
猫に関しては、主に足裏の肉球から汗をかくことで体温調節をしています。
コメントにもありますが、犬がよくやっているはぁはぁと口を開けて呼吸をすることを、パンティングといいます。呼吸によって熱を体から蒸発させるパンティングですが、猫はめったにしません。猫がパンティングをはじめたら、よほど暑くて苦しいというサインですので、すぐに体を冷やして、病院に連れて行ってください。
最近は、ペット用のひんやりするシートなど、暑さ対策グッズも多く売られています。水分補給はもちろん、そうしたグッズの活用もおすすめです。氷を水に浮かべて与えるのも、熱を下げる手っ取り早い方法ですが、お腹を冷やして壊してしまう可能性もあるので、与えすぎには注意してください。
真夏にお留守番を頼む際の注意点
外出する際、愛猫さんにお留守番をしてもらうこともあるかと思います。留守の間、部屋の気温が上がって愛猫さんが熱中症になってしまうのを心配して、クーラーや扇風機をつけっぱなし、という人もいるかもしれません。(コンセントなどに埃がたまっていないかなど、充分気を付けてください)
日頃から、外出時には愛猫さんにはケージの中にいてもらうという人もいるかもしれません。そんな時、特に注意して頂きたいのは、クーラーや扇風機の風が直接、愛猫さんの入っているケージに当たること。
部屋の中でフリーになっていれば、クーラーがききすぎて寒いなと思ったら、もう少し暖かいところに移動できますし、布団の中に潜り込んだりすることもできます。
でも、ケージの中で身動きがあまりとれなくて、ずっと冷たい風にさらされていたら、寒くて低体温症になってしまう可能性があります。
愛猫さんをケージに入れず、フリーにした状態でお留守番をしてもらう時には、エアコンのリモコンなどは愛猫さんの手の届かないところに置くよう心がけましょう。テーブルの上に置いておいて、うっかり踏まれて真夏なのに暖房が入っていた、なんてことも充分あり得ます。
ケージに入っていてもらう場合も、フリーの場合も、猫さんのいる空間には必ず飲み水を置いておくことを忘れずに。
住環境にもよりますが、換気を充分にして、暑さや寒さからの愛猫さんの逃げ場を確保した上でお留守番してもらえるといいですね。
文/一乗谷かおり