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選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

アメリカ合衆国を代表する作曲家ジョン・アダムズ(1947年生まれ)の興味深い新作『シェヘラザード.2』が発表された。これは、美しい王妃シェヘラザードが毎夜に聞かせる物語の力によって、残虐な王を心変わりさせてしまう「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」を元にしたリムスキー=コルサコフの名曲をお手本にした、現代版の続篇である。(試聴はこちらから

ここで扱われているのは、世界中で頻繁に起きている、女性に対する暴力の問題である。若く聡明な女性が、狂信的な男たちによって一方的に裁かれ、められ、やがてそこから脱出して愛の聖域へと脱出していく様が、映像のように鮮やかに描かれている。

独奏ヴァイオリンのリーラ・ジョセフォウィッツ、ロバートソン指揮セントルイス交響楽団の演奏は、異国趣味的な響きを生かしながらも、緊迫感と官能性に溢れている。ただ楽しませるだけでなく、考えさせるという点においても、これは傑出した音楽である。

【今日の一枚】
『シェヘラザード.2』
リーラ・ジョセフォウィッツ(ヴァイオリン)、デイヴィッド・ロバートソン(指揮)他
録音/2016年
発売/ワーナーミュージック・ジャパン
問い合わせ/http://wmg.jp/
商品番号/WPCS-13654
販売価格/2600円

選評/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ局「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金曜 18:00~22:00放送)。近著に『ルネ・マルタン プロデュースの極意』(アルテスパブリッシング)がある。

※この記事は『サライ』本誌2017年6月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。

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