介錯人・お市という設定
I:そして、なんとも衝撃的なことに、切腹する浅井長政の介錯をお市の方自ら行ない、返り血を浴びるところまで描かれました。
A:ここは、賛否分かれた場面だと思われます。そもそも切腹する人物の首をなぜ介錯しなければならないのか。それは、切腹から死に至る時間的な苦痛を和らげるためです。そのため介錯人は腕に覚えのある手練れの剣士が任ぜられるのが常道。
I:なるほど。戦国の姫であるお市の方は適任ではない、むしろ苦痛を増大させてしまう恐れがあるかもしれないというのですね。ただ、『豊臣兄弟!』第10回で、信長から浅井長政へ嫁ぐことを打診された際に、お市は、真剣での居合術の稽古中でした。真剣を手に斬り落とし、納刀までやっていました。あれが嫁ぐ前のことですから、浅井家でも鍛錬を怠らなかったとすれば、かなり上達していたのではないでしょうか。
A:うーん。どうですかね。苦痛なく介錯するには、刃筋や角度、首のどの位置を狙うかなど、練度が求められます。しかも、首の皮一枚残して切り落とさないのが介錯の作法といわれます。そこまでの練度に達していたのかどうか……。
I:でも、思い出してください。2023年の『どうする家康』で北川景子さんが演じたお市の方を。同作のお市は、武道の達人という形で登場してきました。つまり、お市の方は剣でもそこそこの腕前という設定なのだと思います。
A:え? 3年前からの伏線回収ってことですか? そんな設定ありでしょうか。
I:私は、返り血を浴びたお市の方をみて、そんな設定もありかなと思ってしまいました。
A:なるほど。そういわれると、なんだかそんな気になってきました(笑)。
※宮崎あおいの「崎」は正しくは「たつさき」。

●編集者A:書籍編集者。かつて『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











