クラファンで作った新たな本
A:ここで選ばれたのは、北尾重政(演・橋本淳)です。
I:美人画でも有名な北尾重政に、女郎を花に見立てた「一目千本」を描かせるわけですから、すごいですよね。
A:実は、前述の『歴史おもしろBOOK』には、北尾重政が鱗形屋から刊行した『江都二色』について触れられています。これも鱗形屋の刊行物。江戸時代のおもちゃを色絵で描いて、狂歌をのせた遊び心のある本です。子供のおもちゃではありますが、おとなたちの一部にはおもちゃコレクターもいたそうで、流行していた狂歌をのせてこうした本をおとなたちが楽しんだようです。この手の本は、趣味の人同士のプレゼント交換にも使われたようです。鉄道模型を集めるとか、アニメのフィギュアを集めるとか、それの関連本を集めるとか、そういうのはいつの時代も変わりませんね。
I:大人気絵師の北尾重政は、そういう本の挿絵でも需要があったんですね。『べらぼう』に出てくるそうした本とか、ドラマ内では多くは語られないけど、実は背後に当時の文化を物語っているものがたくさんあって、おもしろいですね。
【お詫びと訂正】
『初めての大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」歴史おもしろBOOK』17ページで北尾重政役の橋本淳さんの読み方に誤りがありました。正しくは「はしもとあつし」となります。お詫びして訂正します。
●編集者A:書籍編集者。『べらぼう』をより楽しく視聴するためにドラマの内容から時代背景などまで網羅した『初めての大河ドラマ べらぼう 蔦重栄華乃夢噺 歴史おもしろBOOK』などを編集。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好きで、猫の浮世絵や猫神様のお札などを集めている。江戸時代創業の老舗和菓子屋などを巡り歩く。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり