最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。
脳トレ漢字の記事を読みながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。
「脳トレ漢字」第232回は、「舌鼓」をご紹介します。よく知られている表現ではありますが、かつては現在と全く異なる意味として使われていたそうです。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「舌鼓」とは何とよむ?
「舌鼓」の読み方をご存じでしょうか? 「したづつみ」と言いたくなりますが……
正解は……
「したつづみ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「うまいものを飲食したときに舌を鳴らす音。」と説明されています。何か美味しいものを食べた時に、「舌鼓を打つ」という表現をしますね。しかし、かつてはイライラした時に鳴らす「舌打ち」と同じ意味として使われていたそうです。
また、「したづつみ」と読まれることも多く、慣用されていますが、元の読み方は「したつづみ」です。
「舌鼓」の漢字の由来は?
「舌鼓」という表記は、美味しいものを食べた時の様子に由来するそうです。食事に満足した時に、舌を鳴らす音が太鼓をたたく音に似ていたため、このような表記になったと考えられています。
「舌」に関する慣用句
慶長8年(1603)に、日本イエズス会によって作成された『日葡(にっぽ)辞書』にも表記が見られる、「舌鼓」。「舌」が使われていることわざや慣用句は複数あり、よく知られているもので言えば「舌が肥える(味覚が優れること)」や「二枚舌を使う(矛盾した発言をすること)」などがありますね。
ほかにも、「舌を巻く(驚いて感心すること)」や「舌先三寸(したさきさんずん、口先だけで相手を上手くあしらうこと)」なども、舌に関連する慣用句として知られています。また、軽率な発言は自分自身の首を絞めることになるという意味で、「舌の剣(つるぎ)は命を絶つ」という表現が使われることもあるそうです。
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いかがでしたか? 今回の「舌鼓」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 言葉自体を知っていても、意味を忘れてしまうことはよくありますね。よく知られているものから初めて目にするようなものまで、舌に関する慣用句・ことわざはほかにもあるので、ぜひ調べてみてください。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)