最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
脳トレ漢字の記事を読みながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第175回は、「猪口」をご紹介します。日本酒などを飲む際に、器として使われることが多いです。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「猪口」とは何とよむ?
「猪口」の読み方をご存知でしょうか? 「いのくち」ではなく……
正解は……
「ちょこ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「日本酒を飲む時に用いる陶製の小さな器」「本膳料理に用いる小型の深い器」と説明されています。上が開き、下のすぼまった形をしている「猪口」。徳利(とくり・とっくり)とセットで使用されることが多く、現在では様々な形のものが流通しています。
また、猪口は元々「ちょく」と読まれていました。この読み方について、江戸時代中期の学者・新井白石(あらい・はくせき)は、中国語や韓国語の発音に関係があると考えていたそうです。
「猪口」の漢字の由来は?
「猪口」という漢字は、「ちょく」の当て字です。読みについては、「ちょっとしたもの」という意味で、「ちょく」と読まれるようになったと言われています。時間が経つとともに、「ちょく」が音変化して「ちょこ」になったと考えられますね。
日本酒の歴史
日本だけでなく、海外でも「SAKE」として親しまれている、日本酒。日本酒の歴史は大変古く、稲作が伝来した弥生時代に、米麴を使用した酒造りが始まったと言われています。平安時代になると、造酒司(みきのつかさ)と呼ばれる組織が宮廷内に設けられ、行事用の酒を醸造していたそうです。
室町時代には、京都を中心に数百軒の酒屋が生まれました。兵庫県の西宮市や、石川県の加賀市など、現在も酒所として知られている地域の多くは、この時代から酒造業を開始しているそうです。その後も、高品質な酒を造るべく、技術開発が進められます。
現在とほぼ同じ製法で醸造されるようになったのは、江戸時代中期頃。酒造りの職人集団である杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)が誕生し、上質な米麴や仕込み水が使われるようになりました。明治時代には、日本酒が初めて瓶詰めで販売され、現在に至るまで広く親しまれるようになったのです。
日本酒は大変人気が高いため、全国各地でイベントが開催されています。一度足を運んでみるのも、良いかもしれませんね。
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いかがでしたか? 今回の「猪口」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 日本酒を飲む際に使用されることが多い「猪口」。これからの季節には、「燗酒」が合いますね。
猪口を使い分けながら日本酒を飲むのも、趣があって良いのではないでしょうか?
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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