2023年NHKドラマ10『大奥 Season2』で描かれた、田沼意次

2023年NHKドラマ10『大奥 Season2』(以下、『大奥』)で描かれた田沼意次は、物語の中核を担う重要なキャラクターとして登場します。『大奥』は、よしながふみさんの同名漫画を原作としたドラマで、「男女逆転」という大胆な設定が特徴です。

『大奥』で描かれた田沼意次(演:松下奈緒)は、将軍・吉宗の遺志を受け継ぎ、「赤面疱瘡」(せきめんほうそう、物語に描かれた奇病のこと)撲滅のために蘭方医を大奥に集めるなど、医療改革に挑むリーダーとして描かれます。

機知と時代を読む鋭い感性で支持を集める一方、権力の座にいるがゆえに、さまざまな陰謀や反発とも向き合わざるを得ない苦悩も持ち合わせていました。

2025年NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で描かれる、田沼意次

『べらぼう』で描かれる田沼意次(演:渡辺謙)は、貨幣経済という概念をいち早く掲げ、新しい日本を作るべく、新貨の鋳造、鉱山開発、蝦夷地開発など先進的な経済政策に取り組む人物として描かれるようです。

『大奥』と『べらぼう』、どちらの脚本も手掛けるのは森下佳子さん。繊細で奥行きのある物語作りに定評のある森下さんが、田沼意次という時代によって評価のわかれる人物を『べらぼう』の中でどのように描き出すのか、期待が高まります。

まとめ〜田沼意次の評価とその遺産

田沼意次は、商業経済を重視した改革者としての側面と、賄賂政治の象徴としての側面の両方を持ち合わせた人物です。その政策の多くは、意次が失脚した後に否定され、後任の松平定信による「寛政の改革」によって一掃されました。

しかし、株仲間の制度や貨幣政策、蝦夷地開発計画などは、後の近代日本の経済発展に先駆ける意義を持つものでした。

田沼意次の政治は、江戸時代の封建制度における経済の転換点として、今なお議論の対象となっています。彼の「経済を基軸とした政治」の試みは、その時代の限界を超えた先見性を示すものであり、日本の歴史において特筆されるべき存在だといえるでしょう。

※表記の年代と出来事には、諸説あります。

文/菅原喜子(京都メディアライン)
肖像画/もぱ(京都メディアライン)
HP: http://kyotomedialine.com FB

引用・参考図書/

『日本大百科全書』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)
『日本人名大辞典』(講談社)
『国史大辞典』(吉川弘文館)

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