心優しい瀬名こと築山殿を演じた有村架純さん。(C)NHK

ライターI(以下I):徳川家康(演・松本潤)の正室瀬名(築山殿)が亡くなりました。最期の場所は浜松市の佐鳴湖のほとりといわれていますが、劇中でもその説が採用されていました。

編集者A(以下A):当欄では、放送前から「『どうする家康』を20倍楽しむ要諦はまっさらな気持ちでみること」といってきました。歴史ものは「史実をそのまま踏襲するか」「新解釈を大胆に展開するか」でまったく異なる印象を与えることになります。本作の「築山殿事件」の解釈は思いっきり振り切ってきた斬新な設定となりました。当欄では「ここまで振り切ってくると逆に爽快で面白い」と評しました。

I:まっさらな気持ちで見た人にとっては、ものすごく感動的な場面になったと思います。私もうるうるしながら見ました。「家康、何やってるの」と声に出しながら……。

A:こういうシーンを見て、実際にはどうだったんだろう? と関連書籍を手に取ったり、ゆかりの地を訪れるのも楽しいですよね。「なんだ、実際に起きた出来事はドラマとぜんぜん違うじゃないか」ということもままありますが、それも「大河ドラマあるある」。それも含めて楽しむのが大河ドラマファンなのでしょう。

I:そして、瀬名を演じた有村架純さんからコメントが寄せられました。質問は第25回についてです。

台本を初めて読んだ時、自然と涙がでてきました。瀬名が殿(家康)と過ごした日々を思い出し、瀬名の本当の気持ちを想像した時に、ぐっとくるものがありました。「(脚本の)古沢さんは瀬名のラストを苦しみながら書かれていたよ」と監督経由で伺ったのですが、それくらい瀬名のラストに向けて、古沢さんも力を込めて描いてくださっていたのかなと思います。第23回で信康にはかりごとを打ち明けるところから最期をどうやって迎えるのかなと思いながら読み進めましたが、第25回では瀬名の殿に対する精一杯の思いが見えた気がして、結末には納得感がありました。

I:さらに有村架純さんは、瀬名の「はかりごと」についての感想も語ってくれました。

瀬名のはかりごとは、家族を思ってのことだったと捉えて演じました。殿が内に秘めていた「戦のない世をつくる」という決意を瀬名は感じとっていて、「殿ができないなら私がやる」ということではなく、「殿の夢を一緒に追いかけたい」という気持ちだったのかなと。そして第19回でお万から言われる「政もおなごがやればよいのです」という言葉もひとつのきっかけになり、殿の夢を一緒に追うために、女の自分ができることは何だろうと具体的に考えたのかなと思います。そして息子に関しては、あんなに心優しかった信康が簡単に人を殺めるようになるなんて……とショックを受けたと思いますし、戦国時代なので仕方の無いことかもしれないけれど、本人の心が壊れてしまっている以上、親としては「仕方ない」では済ませられない。瀬名の中では複雑に受け止めていたと思います。苦しんでいる信康をどうすれば救えるだろうと考えた時に、やはり世の中から争いごとをなくすということしか方法がなくて……。瀬名のはかりごとは、殿の夢を一緒に追うためでもありますが、息子を守るためでもあり、愛する家族のことを思い、「これだ」と心に決めた方法で迷いなく実行していったのかなと思います。

I:折しもNHK BSでは、10年前に放映された朝ドラ『あまちゃん』が再放送されています。有村架純さんは小泉今日子さん演じる春子の高校生時代を演じていました。清楚で可憐で若々しい有村さんの姿が鮮烈によみがえります。あれから10年の時を経て、家康の正室瀬名を見事に演じ切ってくれました。10年という歴史を刻んで押しも押されぬ名優に成長したということですね。

A:10年前といえば、カラスに襲われた子猫の物語をまとめた『ありがとう! わさびちゃん』を編集していました。10年ってあっという間ですね。

I:猫のわさびちゃんも10年前のことになるんですね……。さて、有村架純さんのこれからの10年も期待大。今度は1年通しで出演する役を演じてほしいですね。そして、劇中の家康も瀬名亡き後の10年は、人生の大きな正念場ともいうべき出来事が続きます。信長、秀吉だけではなく、新たなキャストも登場します。さらに目が離せない展開が続きます。

A:本編でも言及しましたが、次回から家康が月代を剃った姿で登場します。1995年の大河ドラマ『八代将軍吉宗』では、少年時代の吉宗が疱瘡にかかり包帯を巻いたシーンがありました。その包帯を解いたら「少年吉宗」が西田敏行さんに変わっていたという斬新な演出で、新章スタートを強烈に印象づけました。

I:月代を剃った家康の登場で、物語がどのように変化していくのか楽しみですね。

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 


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