クセの強い坂東武士・上総介広常(演・佐藤浩市)と面会する義時(演・小栗旬)と和田義盛(演・横田栄司)。

ライターI(以下I):〈源氏にはわしをここから救い出そうとする骨のあるものはおらぬのか〉――。俗に「日本一の大天狗」と言い伝えられている後白河院(演・西田敏行)が嘆いていましたが、挙兵した頼朝(演・大泉洋)が敗走したとの報せが届きます。

編集者A(以下A):第3話では頼朝に「密旨」まで送っていましたし、劇中、常に頼朝の枕元に現れる存在ですからね……。古典『平家物語』では、後白河院の院宣と文覚がつながっていることになっていますから、今後も、後白河院~文覚~頼朝の絡みが出てくるかもしれないですね。

I:前週のラストで〈この男の肩に頼朝の運命がかかっている〉と紹介された上総介広常(演・佐藤浩市)のもとを義時(演・小栗旬)と和田義盛(演・横田栄司)が訪ねます。広常は〈俺は素直な男。素直な男は損得で動く〉〈この戦、俺がついた方が勝つ〉と自信満々でした。

A:劇中のキャラ設定はともかく、広常が大豪族であることは事実。その帰趨が頼朝の運命を変えたというのもその通りなんでしょう。これまで多くの坂東武士が登場していますが、彼らと源氏の関係に関心のある方は、野口実先生の『源氏と坂東武士』(吉川弘文館)などで補強いただければと思います。劇中で描かれる坂東武士たちの実像がわかって、大河をより一層楽しめると思います。

I:野口実先生は、『史伝 北条義時』の著者山本みなみさんの恩師でもありますね。歴史の研究でも襷(たすき)がつながれているんですね。さて、劇中でも〈さっきまでそこに大庭の使い梶原景時がいた〉とか奥州の藤原秀衡(演・田中泯)から砂金が送られるなど、広常が大物であることが強調されました。

A:義時が〈われらが坂東武士のために立ち上がったのは、平家に気に入られた者だけが得をする、そんな世を改めたい。われらのために坂東を作る。だからこそ上総介広常殿にお力を貸していただきたいのです〉と懇願しました。兄宗時(演・片岡愛之助)の「遺言」を受けて広常を説得しようとします。〈つまりは、頼朝はお飾りだってことか?〉と緊迫のやり取りがありました。

最初に駆けつけてきた頼朝の弟は全成

陰陽道の印を結んで見せる全成(演・新納慎也)。

I:頼朝の異母弟である醍醐禅師全成(演・新納慎也)が登場しました。陰陽の呪文を唱えるなどキャラが立ってましたね。

A:呪文を唱えるキャラ設定となると、今後手広く活躍、あるいは暗躍する可能性がありますね(笑)。1992年の大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』では織田家に仕える祈祷師・加納随天(演・平幹二朗)という架空人物がやたらと本編に絡んできて興醒めという声もありましたが、全成にはギリギリの線まで攻めてほしいですね。

I:この全成、源義朝と常磐の間に生まれた今若、乙若、牛若3兄弟の長男ですね。

A:はい。そのほか頼朝には母を同じくする弟希義(まれよし)が土佐にいました。頼朝挙兵後に現地の平家勢力によって殺害されたといわれています(諸説あり)。頼朝も北条などの強固な後ろ盾がなければ以仁王の挙兵後に希義のように殺されていたかもしれないですね。

亀との出会いと上総広常

I:さて、房総半島で再起を目指している中で、亀(演・江口のり子)を見初めます。坂東武士たちが必死で再起を目指そうとしている中で、なんということをしでかすのかと思いました。人間は追い詰められると理性をなくすともいわれますが、そんな状況だったのかと思いながら見ていました。

A:劇中では、見初めてすぐに寝所に呼び込む展開になりましたが、これが功を奏しました。大庭景親(演・國村隼)からの要請を受けた長狭常伴(演・黒澤光司)に襲撃されたものの、亀との逢瀬のおかげで難を逃れたわけです。

I:なんだか喜劇のような展開でしたね。

A: 喜劇? 確かにそうかもしれません。喜劇といえば、第3話で、1歳2か月の安徳天皇が登場しました。安徳天皇の祖父は後白河院と平清盛になりますが、よくよく考えると、1歳2か月で即位という現実の方がよっぽど喜劇っぽくないですか?

I:いわれてみれば、後白河院と清盛の権力闘争の結果とはいえ、幼帝の即位は喜劇のようにも感じます。

A:ちなみに安徳天皇即位の15年前には、同じ後白河院を祖父に持つ六条天皇がなんと生後7か月で即位しています。摂関政治の頃にも幼帝の即位はありましたが、乳児の即位の時代が来たわけです。治天の君である上皇や法皇など時の権力者が自らのほしいままに皇位をコントロールした結果ですね。

奥州の九郎義経がやってくる!

I:広常は結局、2万騎の大軍を率いて頼朝の陣に向かいます。ついこの前まで「300!」「少ない!」という規模感で戦をしていたところにいきなり2万の大軍とは凄いことになってきました。本来なら大喜びのはずですが、頼朝は〈遅参するものなぞ、戦場では役に立たん〉〈礼儀を知らぬものは天下草創の志を同じゅうできん〉と激怒して見せます。

A:『吾妻鏡』にも描かれる場面です。「お約束」の場面ですが、水戸黄門が印籠を出すシーン同様に、何度見ても飽きないですし、やっぱり面白いです。

I:今週はそのほか、義時と梶原景時(演・中村獅童)が〈頼朝は天に守られている〉という会話を交わすなど、盛りだくさんの展開でした。

I:ラストで奥州を発とうとする義経(演・菅田将暉)の姿が映し出されました。1979年の『草燃える』では、国広富之さんが無邪気な義経を演じました。『鎌倉殿の13人』では菅田将暉さんが演じます。それだけに一癖も二癖もある義経になりそうですね。

A:善玉義経になるのか、悪玉義経になるのか、はたまた間をとってグレーな義経になるのか。菅田将暉さんをキャスティングした以上、これまでの義経像の焼き直しにはならないとみていますが、楽しみでしょうがないですね。

I:きっと中尊寺にも行きたくなるんですよね。今年の大河は、行きたくなる場所が多すぎて困っちゃいますね。

義経(演・菅田将暉)この男の今後の動向に注目!

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『半島をゆく』を足掛け8年担当。初めて通しで見た大河ドラマ『草燃える』(1979年)で高じた鎌倉武士好きを「こじらせて史学科」に。以降、今日に至る。『史伝 北条義時』を担当。
●ライターI:ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2022年1月号 鎌倉特集も執筆。好きな鎌倉武士は和田義盛。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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