鳩尾

▷読み:みぞおち

▷意味

肋骨の下、胸の中央部のくぼんだ場所を指します。人間の急所の一つでもあります。「きゅうび」「みずおち」とも読みます。また、「鳩尾」は別名、「心窩(しんか)」、「水月(すいげつ)」とも言いますよ。

▷言葉の成り立ち

「鳩尾」の由来は漢字と音で異なるものになります。まずは漢字の由来からご説明しましょう。

「鳩の尾」がなぜ「みぞおち」を指すのでしょうか。それは「みぞおち」の形が「鳩の尾」に似ていたため、このような漢字で表すことになったと言われています。確かに、鳩の尾っぽの形に似ておりますので、ご興味のある方は人体模型などでご確認されてみるのもいいかもしれません。

また、なぜ「みぞおち」という名称になったのか。それは、「水落ち(みずおち)」のなまりであると言われています。飲んだ水が落ちる感覚のある場所がみぞおちだったことから、「水落ち(みずおち)」転じて「みぞおち」となりました。

辛夷

▷読み:こぶし

▷意味

『小学館デジタル大辞泉』では、「モクレン科の落葉高木。春、葉より先に、大形の香りのある白色の6弁花をつける」と説明されています。3月中旬から開花するため、冬が明ける合図となる花を咲かせる樹木です。昔はコブシの花が咲く時期に田打ち作業を始めたことから、別名「田打ち桜(たうちざくら)」とも呼ばれています。

「こぶし」という和名の語源は、つぼみが開く直前の形が握り拳に似ていることからと言われています。また別の説として、つぼみではなく果実が握り拳に似ていることを語源とする考え方もあります。

▷言葉の成り立ち

なぜ「辛夷」を「こぶし」と読むのでしょうか? それはコブシの花のつぼみを乾燥させた漢方の名前「辛夷(しんい)」の漢字が、そのまま樹木の名前の漢字に当てられたからです。そのため、樹木を指す場合は「辛夷(こぶし)」と読み、そのつぼみを指す場合は「辛夷(しんい)」と読みます。

ちなみに、日本では「辛夷」は「こぶし」を意味しますが、中国ではこの言葉は「モクレン」を指します。この分かりにくさのためか、「辛夷」を単純に「拳」と表記する場合もあります。

舌苔

▷読み:ぜったい

▷意味

『小学館デジタル大辞泉』では、「舌の粘膜の上面に生じるコケ状の付着物」と説明されています。「舌苔」の正体は、舌に付着した、様々な細菌や古くなった口の中の粘膜、食べ物のカスなどの汚れが集まったものです。舌の表面が白っぽくなるため、苔に見立てて「舌苔」と呼びます。

この「舌苔」は高齢者に限らず、誰にでもできるものですが、口腔機能が低下しやすい高齢者は分厚くなってしまうことがあります。口臭の原因のひとつであり、味覚障害の原因とも言われています。

▷言葉の成り立ち

「舌苔」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「舌」は「味を感じとり、発音を助ける口中の器官」を、「苔」は「体表に付いた垢(あか)」を意味しています。よって「舌苔」という漢字で「舌の粘膜の上面に生じるコケ状の付着物」を表しています。

白南風

▷読み:しろはえ

▷意味

『小学館デジタル大辞泉』によると、意味は「梅雨が明ける6月末ごろから吹く南風」のこと。「はえ」とは主に山陰、西九州地方で用いられる「南風」の呼び名です。

▷言葉の成り立ち

なぜ梅雨明けの風は “白い南風”なのでしょうか? それは、この風が吹くと梅雨が終わり、天が明るく晴れるからだと言われています。空の雲の色も暗い雨雲から、夏の澄んだ白い雲へと変化しますよね。空や雲の色といった視覚的なイメージが、風に色をつけたのです。

帷子

▷読み:かたびら

▷意味

『小学館デジタル大辞泉』では、「生絹や麻布で仕立てた、夏に着るひとえの着物」と説明されています。古くは装束をつける時、汗とりとして着たものでした。江戸時代頃には、夏の単衣で麻製の着物を指す言葉に変化しました。

皆さんの中には、「帷子」という地名や苗字をご存知の方がおられるかもしれません。「帷子」という地名は、横浜市の「帷子川」や、京都太秦の「帷子ケ辻」など各地に点々とあります。また、苗字としては岩手県に集中していると言われています。

▷言葉の成り立ち

着物はその作りから、大きく二つに分けられます。生地を二枚縫い合わせた裏地のある着物である「袷(あわせ)」。そして、一枚の布でできた裏地のない着物である「単(ひとえ)」です。

この「単」の中でも特に、麻布で仕立てたものを総称して「帷子」と呼びます。つまり「帷子」は、裏地のついた「袷」から裏地を取った片方の一枚、片枚(かたひら)なのです。この「かたひら」が「帷子(かたびら)」の語源だとされています。

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いかがでしたか? 正月にちょうどいい脳トレとなりましたでしょうか? 明日も「脳トレ漢字 読み方総集編」をご用意しておりますので、楽しんでいただけたら幸いです。

貼付、坩堝、産土、返戻、婉曲…誤読の多い漢字、読み方を覚えていますか?【脳トレ漢字 読み方総集編その二】

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