酒は“百薬の長”といわれ、「適量の酒は薬に勝る」とされてきました。ただし、「適量」でとどめることが大切です。アルコールによる肝臓への負担はよく知られるところですが、実は胃腸にも負担がかかっているのです。お酒を飲む機会が増えてくる時季。からだをいたわるコツをお伝えします。
お酒の適量ってどのくらい?
お酒を適量にとどめたいけれど、適量がどのくらいかわからなければ、飲みすぎてしまうことに。お酒の適量とは、いったいどのくらいなのでしょうか?
厚生労働省公表「健康日本21」によると、「純アルコールで20g程度」(1日平均)。
「純アルコールで20g程度」を、お酒の摂取量に換算すると以下になります。(※1)
・ビール中びん 1本
・日本酒 1合
・チューハイ(7%)350ml缶 1本
・ウィスキーダブル 1杯
・ワイン(14%) 1/4本
もちろん、お酒の適量には個人差があり、その日の体調によっても違います。
自分に合った適量を探して、その適量内で楽しみたいですね。
アルコールから胃を守るための食べ方
お酒を飲んだ翌日に胃腸の調子がよくない、下痢になったという経験はありませんか?
厚生労働省の生活習慣病予防のための情報サイト「e-ヘルスネット」の「アルコールの消化管への影響」によると、お酒の濃度と量が適量を超えると、消化管に障害を起こすことがあるそうです。アルコールは、消化管に直接障害を起こすほかに、粘膜の血流や消化液などに影響を与え、間接的にも障害を起こすとされています。
また、水分や電解質の、腸からからだへの吸収が悪くなり排出量が増えてしまいます。さらに糖や脂肪の分解・吸収も低下し、下痢が起こりやすくなるそうです。
■胃腸を守るための対策「飲酒前」
空腹の状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収が速くなり、酔いやすくなります。場合によっては急性アルコール中毒を引き起こすことも。また、食べ物のクッションがないため、胃を荒らしてしまう原因にも。飲酒前には軽く食事を摂っておきましょう。牛乳やヨーグルトなどの乳脂肪の多いものを摂るのがおすすめです。
■胃腸を守るための対策「飲酒中」
お酒と一緒に、食事やおつまみを楽しむようにしましょう。ビタミン・ミネラル類が摂れる、野菜たっぷりのサラダやカルパッチョもいいですね。また、アルコール度数の高いお酒は胃腸の粘膜を傷つけやすいもの。できるだけ薄めるか、お水を一緒に飲むようにしましょう。
■胃腸を守るための対策「飲酒後」
消化のよい食べ物で胃腸をいたわりましょう。おかゆ、うどん、ヨーグルト、白身魚、鶏ささ身、煮物などがおすすめ。
ラーメンや揚げ物など脂質の多い料理は胃に負担をかけるので避けたいところ。塩辛などの塩分が多いもの、チョコレートなどの甘いもの、コーヒーなどのカフェインを含むものは胃腸に刺激を与えます。こちらも避けたほうがいいでしょう。
週に2日はお酒を飲まない日、いわゆる“休肝日”をつくりましょう。肝臓だけでなく、胃腸も休ませてください。
年齢を重ねれば重ねるほど肝臓の機能が落ち、若いころのような酒量が飲めなくなるものです。ミドルからシニアに差しかかる年齢で、若いころから飲酒の習慣が変わっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。この機会にお酒の量や飲み方を、見直してみてはいかがでしょうか?
(※1)公益社団法人アルコール健康医学協会
参考/厚生労働省「eヘルスケアネット」
編集/おいしい健康編集部
監修/おいしい健康管理栄養士
株式会社おいしい健康
「誰もがいつまでも、おいしく食べられるように」という理念のもと、ITを活用したヘルスケア事業や生活メディア事業を展開しています。主なサービスとして、病気の予防・管理、ダイエットなどを目的とした管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」を運営。社内には、サービスの監修や向上にあたる管理栄養士が複数在籍しており、食や健康に関する情報をエビデンスに基づき正確にわかりやすく発信しています。
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