突然ですが、「口臭」が気になったことはありますか? 例えばビジネスシーンで、相手の口臭が気になったことがある方も多いはず。しかし、自分自身のニオイには、気づきにくかったりします。
パナソニック株式会社が、内科医で“におい専門家”である桐村里紗先生監修のもと、20代~50代の男女計400名を対象に「オーラルケアに関する意識調査」を行いました。
口臭の実態から、いわゆる“ザリガニ臭”、“ドブ臭”を予防するオーラルケアまで、それぞれ学んでいきましょう。
■およそ9割の人が他人の口臭が気になったことがあると回答。特にビジネスシーンの口臭に要注意!
口臭の調査を行ったところ、「他人の口臭が気になったことがある」を選んだ人は全体の86%に上りました。また、気になったことがある人の中から、さらに「口臭が気になった相手」を聞いたところ、1位は「同僚」(36%)、2位は「上司」(35%)、3位は「配偶者」(23%)という結果が出ました。
また、同様の対象者に「口臭が気になった場面」について聞いたところ、 1位「人の近くに座ったとき」(64%)、2位は「仕事で指示をする/されるとき」(30%)、3位は「電車に乗ったとき」(26%)が挙げられました。口臭が気になるのは主にビジネスシーンが多いようです。
会社という閉鎖的な空間で忙しい毎日を送っていると、お互いの“ニオイ”に敏感になる傾向があるのかもしれませんね。
しかし、他人に「口臭について指摘されたことがある」という質問に「ある」と答えた人は20%に止まりました。指摘した相手として、ほぼ半数が「配偶者」(47%)、続いて「子ども」(19%)、「友人」(14%)と回答しています。
前述の「口臭が気になった相手」1位と2位のビジネスシーンに相対する人々はTOP3には入りませんでした。気になってはいるものの、伝えることができず、より身近な人でないと口臭の指摘は難しい、ということがよくわかりますね。
■50代男性は自分の口臭に鈍感!?「特に口臭が気になった相手」第1位は50代男性……
「自分の口臭が気になったことがない」と答えた率が最も高いのは50代男性(36%)という結果が出てきました。これは、最も口臭を気にしている40代、50代女性(18%)の2倍の数値です。
しかし「特に口臭が気になった相手」として最も票数を集めたのは、50代男性(20%)でした。自分の口臭には気づきにくいということでしょうか。
桐村先生によると「嗅覚は『順化』という慣れの現象によって、常に嗅いでいるニオイについて感じにくくなってしまいます。ケアが行き届いておらず、24時間慢性的に口臭が発生している人ほど、自分の口臭に気づきづらいのはそのためです。また、嗅覚の敏感さには個人差がありますが、年齢と共に他の感覚と同じく鈍感になっていく傾向もあります。
更に、男性よりも女性の方が嗅覚を司る神経細胞の数が多かったとの研究報告も※。一概には言えませんが、年齢を経た男性ほどニオイに鈍感になりやすいと考えられます」とのことです。
※出典元:Sexual Dimorphism in the Human Olfactory Bulb: Females Have More Neurons and Glial Cells than Males – PLOS ONE)
また、「歯ブラシ及び歯磨き粉以外に使っているオーラルケア用品」の調査では、「マウスウォッシュ」(40%)、「デンタルフロス」(39%)、「歯間ブラシ」(34%)を使っている人が多いようです。
桐村先生によると、通常の歯磨きだけでは歯垢(プラーク)除去率は61%という調査結果が出ているそうです。「歯磨きだけしていればOK」と思われがちですが、約39%の歯垢を放置していることになります。更に、デンタルフロスを併用しても除去率は79%、歯間ブラシを併用しても85%と15~20%くらいの歯垢が残ってしまうという調査結果があります。特に、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットは、歯垢が残りがちです。歯周ポケットまでケアするためには、歯ぐきを傷つけずに汚れを水流で洗い流すことができる<口腔洗浄機>が有効だと、桐村先生は続けます。
ちなみに、先ほどの「歯ブラシおよび歯磨き粉以外に使っているオーラルケア用品」調査で、不使用率が最も高いのは50代男性で平均より10%高い、40%となりました。この結果からも、50代男性が自らのオーラルケアに比較的関心が薄いことが伺えます。
■歯周ポケットの奥に、歯周病菌が入り込むことが「ザリガニ臭」や「ドブ臭」の原因?予防には日頃からの歯周ポケットケアが大切
自覚している口の中の悩み1位は「歯間に物が挟まる」で53%。次いで「歯の着色」、「口臭」がランクインしました。
「歯の間に磨き残した歯垢(プラーク)の中の細菌数は、『糞便』と同じ程度(1g中1〜2.5×10の11乗)、更に細菌密度は『糞便』以上です」と桐村先生は話します。さらに、食後8時間程度で形成された歯垢(プラーク)は、2週間ほどで歯石へと変わってしまいます※3。歯石は歯科医院で除去してもらうほかはないそうです。歯と歯の間にものが挟まっても、取りづらいからといって放置しておくと、後々より面倒なことになる可能性があります。
※3出典元:厚生労働省
磨き残しと口臭の関係について、桐村先生は「磨き残しによって口の中に蓄積した歯垢は、いわば細菌の塊です。特に、歯垢を放置する事で歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに深い谷間ができ、その奥深くに歯周病菌が入り込むと、『ザリガニ臭』や『ドブ臭』とも称される悪臭の原因になります。ザリガニの水槽やドブが臭うのは、水の中の栄養成分を酸素が嫌いな嫌気性菌といわれる菌が腐敗するからです。歯周病菌も嫌気性菌の一種で、酸素の少ない歯周ポケットの奥深くで、食べ物などのタンパク質を腐敗させることで悪臭を発生させます。
さらに、歯ぐきが腫れて炎症を起こし、出血が起こると、血液成分をエサに、歯周病菌が繁殖します。それらは、簡単に血管の中に入り込み、全身を巡り<歯周病性菌血症>を引き起こし、動脈硬化などの全身疾患の原因にもなります」と話します。
口臭対策は、他人に不快感を与えないように配慮するというエチケット的な観点からだけではなく、自分の健康状態を維持するヘルスケア的観点からも重要です。必要に応じたオーラルケア用品を使用しながら、日常のケアで目に見えない磨き残しもしっかりと洗い流しましょう。定期的に歯科での歯科検診やクリーニングを受けることも大切です。
口臭ばかりでなく、具合が悪くなったときに改めてよくわかる、歯の大切さ。そうなる前に、日々のお手入れを見直してみたり、かかりつけ医を持っておくことで清潔な状態を保つ努力が必要ですね。
<調査概要>
調査期間:2019/4/26-2019/4/29
調査対象:全国20代、30代、40代、50代、各年代の男性50人/女性50人 総計400人
調査方法:インターネット調査
※調査結果の数値は小数点以下を適宜四捨五入して表示しているため、積み上げ計算すると誤差が出る場合があります。