文/鈴木拓也
沸騰したお湯を適度に冷ました「白湯(さゆ)」。素人目には何の変哲もない湯でしかないが、「あらゆる不調を解消する最強の飲みもの」と絶賛するのは、医療法人社団邦友理至会の理事長で、コトハ東京PVPクリニックを統括する蓮村誠院長だ。
蓮村院長は、著書の『図解 病気にならない「白湯」健康法』の中で、白湯がもたらす健康効果を解説している。それには、花粉症から月経困難症まで多種多様な疾病・症状が含まれ、サライ世代がかかりやすい病気にも改善効果があるという。
そう言われると俄然興味がわいてくるが、具体的にどのような効果があるのか? 本稿でかいつまんで紹介したい。
■白湯の作り方
蓮村式の白湯の作り方は、水が沸騰したら終わりではない。沸騰し始めても火は止めず、弱火で10~15分の間沸かし続ける。電気ポットはNGで、やかん+ガスコンロで沸かす。これを守らないでできた白湯を飲むと「重く詰まる感覚」があり、期待する効果も生まれないという。
■白湯の飲み方
白湯は、まだ熱い状態のものを、「ふうふうして少し冷ましながら」飲む。飲むタイミングは、まずは起床後。コップ1杯(約150cc)を5~10分かけて飲み切る。その後は毎食のたびに、「数口食べてはひと口すする」感じでコップ1杯分を飲む。食間に少し飲んでもよいが、1日に飲む分量は800ccを超えない。
■高血圧を無理なく改善
上の方法で作られた白湯には、身体の自動調整能力を高める力があると、蓮村院長は唱える。この調整能力は血圧にも働きかけ、血圧が高い人は自然と下がってゆくという。
白湯飲みを続ける一方、控えたいのが肉や魚。これらを食べすぎると血圧が下がりにくくなるばかりでなく、緑内障といった危険な病にかかるリスクが高まってしまうと戒めている。
■更年期障害とも無縁に
女性が更年期の移行がうまくいかず、冷えやのぼせなど様々な苦痛を味わうのは、「30~40代の時期に寝不足などの不規則な生活をくりかえし」、体内のエネルギーバランスを崩してきたことが原因だという。
白湯には、こうしたエネルギーバランスの乱れも整える効能があるため、「飲みつづけていると全身が調和され、更年期障害も出にくくなります」とする。また、白湯は少しぬるめにするのがよいそう。
■骨粗しょう症の改善にもつながる
シニアに多い骨粗しょう症だが、これも白湯によって改善させられるという。ただし、飲み過ぎは禁物で、朝一番と食事中にとどめる。
白湯とは別に蓮村院長がすすめるのが、本書で作り方が掲載されている自家製のカッテージチーズ。新鮮でとても純粋な滋養になり、骨の形成を助けるカルシウムが補充できると太鼓判を押す。
■腰痛も白湯で治る
蓮村院長は、一般的な腰痛の原因は冷えにあると指摘する。冷えをもたらす要因として、冷たい飲食物の摂り過ぎや夜遅い時間帯の食事を挙げ、まずこうした食生活を改めるのが大事と説いている。
白湯には、常に全身を温かく保つ作用があるそうで、冷えからくる腰痛には白湯は最適。食生活の改善と並行して、白湯を習慣づけることがすすめられている。
* * *
このほかに白湯には、慢性的な疲労感を解消させ、心の悩みも軽くしてやる気を高めるなど、生活の質全般を高める効果もあるという。蓮村院長は、万能の妙薬とまでは言い切っていないが、ほぼコストゼロで手間もかからないので、試してみて損はなさそうだ。それで日頃のちょっとした不調が癒されてゆくのなら、習慣化しない手はないだろう。
【今日の健康に良い1冊】
『図解 病気にならない「白湯」健康法』
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84229-5
(蓮村誠著、本体680円+税、PHP研究所)
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。