口内環境が健康寿命を左右する、ということをご存じだろうか。口は、食べ物の入口であるが、病気の入口にもなりうる。全身の健康を左右する「歯周病」の原因と予防法を知り、健康維持のために日常生活を見直したい。
今回は、口内を健康に保つ重要な役割を果たしている“唾液”を増やす【唾液腺マッサージ】の方法をご紹介する。
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唾液には抗菌・浄化作用があり、酸化した口内を中性に戻すなど、さまざまな緩衝作用がある。しかし、加齢や降圧剤・利尿剤など薬の服用によって、唾液の分泌が少なくなることがわかっている。歯科医の野本秀材さん(サクラパーク野本歯科院長)は、次のように指導する。
「唾液の分泌を多くするには、よく噛んで食べること。糖分のないガムもいいでしょう。唾液腺マッサージも即効性があります。また、ストレスは唾液量を減少させ、くいしばりが強くなってしまいますから、ストレスのない生活を心がけることも大切です」
それでは唾液の分泌を促す唾液腺マッサージの具体的な方法を教えていただこう。
■1:まずは唾液腺の位置を確認
■2:舌下腺への刺激
舌下腺は顎のとがった部分の内側のくぼみにある。ここに両手の親指をそろえて当て、10回くらい上方向にゆっくり押し上げる。喉のどを押さないように気をつけて行なうこと。
■3:顎下腺への刺激
顎の骨の内側のやわらかい部分にある顎下腺。ここに親指を当て、耳の下から顎の下まで、3~4か所に分け、順に押していく。押す回数の目安は、各ポイントをゆっくり5回くらいずつ。
■4:耳下腺への刺激
耳の前(上の奥歯あたり)付近にある耳下腺は、梅干しなど酸っぱい食物をイメージすると唾液が出てくる場所。ここに指数本を当て、前に向かって指全体でやさしく10回ほどなでる。
以上、唾液の分泌を促す【唾液腺マッサージ】の方法をご紹介した。
歯周病は生活習慣病。生涯の豊かな生活のために、日々、口元の自己管理を徹底したい。
※この記事は『サライ』本誌2016年11月号「大人の歯磨き基本のき」より転載しました。記事内の肩書き等は取材時のものです(取材・文/大津恭子、撮影/福田栄美子、イラスト/岩井勝之)