
日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。
解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

「良質な脂質」をたっぷり摂る
消化の過程で糖質(炭水化物)がブドウ糖に分解されるように、脂質は脂肪酸とグリセリンに、タンパク質はアミノ酸に分解されます。
脂肪酸は、37兆個もある細胞膜の原料となるなど、体にとって非常に重要な働きをしており、どんどん使われます。そのため、日本人の平均的な脂質摂取量(一日約60グラム)では足りないくらいです。
もし余った場合でも、多くは便として出てしまうので、脂質の摂りすぎで問題が起きることはほとんどありません。
また、これまで何度も説明してきたように、太るのは米飯など炭水化物の摂りすぎであって、脂質のせいではありません。
ですから、みなさんは、脂質についてはもっとたっぷり、積極的に摂っていいのです。肉の脂身も遠慮なく食べてください。
ただし、油脂を用いるときは、その「質」に気を配ってください。細胞膜の原料となるのですから、いい加減に考えてはいけません。
とくに、古い油は毒物に近いくらい体に悪いので、つくってから時間が経った揚げ物などを口にするのはやめましょう。
今はいろいろ「健康にいい油」が出ていますが、その実態について完全に検証されてはいません。
さまざまな信頼の置ける研究で、オリーブオイルの健康効果は認証済みですから、迷ったらオリーブオイル一辺倒にしておきましょう。
我が家ではもっぱら、高品質の「エキストラバージンオリーブオイル」の小瓶を買っています。小瓶にすればすぐに使いきるので、古くなる心配がないからです。
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世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』
現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)
