江戸時代の蘭学医、杉田玄白の「養生七不可」
杉田玄白(1733~1817)は、江戸時代の蘭学医である。オランダ語の解剖学書『ターヘル・アナトミア』を前野良沢らとともに翻訳し、『解体新書』として刊行した。
玄白は生まれつき虚弱だったにもかかわらず、85歳の長寿をまっとうする。玄白はその秘訣を7つあげている。
・過ぎてしまったことでくよくよしない
・先のことをあれこれ心配するな
・暴飲暴食を慎め
・素性のわからないものは食べるな
・病気でもないのに薬を飲むな
・元気だからといって房事過多はいけない
・ずぼらを決め込むな
長生きのためにやってはいけないこと
これらは古稀の前年の祝いの際に、玄白が子孫に書き記した「養生七不可」、つまり長生きのために7つのやってはいけないことである。
不可のひとつにあげた房事(性交)過多は、過多だからだめなのである。玄白は64歳のときに、往診先の女中に心を動かし、「老木とて油断めさるな返り花」という、回春の句を詠んでいる。気持ちはいつも若く、ということだろう。
晩年の玄白は、茶飲み友達を誘っては散歩に出かけ、桜や紅葉を「油断なく見て歩いている」と述べている。7つの不可を守り、気の合う仲間と見たいものを積極的に見て、充実した晩年を送ったことがわかる。
文/内田和浩