「紅茶」は茶葉を揉んで発酵させる

同じ茶葉を使いながらも、「紅茶」の製造工程は全く異なります。まず、生の茶葉を「揉捻(じゅうねん) 機」で揉み、組織や細胞を壊して、発酵しやすさを促します。これを室温25~30℃、湿度95%の場所に置くことで発酵を促し、紅茶特有の甘い香りを引き出すのです。発酵が進み、赤みを帯びた茶葉を機械で乾燥させれば、紅茶の完成です。

茶葉を揉捻(じゅうねん) 機で揉みます。

茶葉を揉捻(じゅうねん) 機で揉みます。

細かくなった茶葉を発酵させます。

細かくなった茶葉を発酵させます。

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緑茶と紅茶のテイスティング。茶葉の品種や製法によって、色も味わいも多種多様。

「在来種」で風土の個性を出す

「うちで育てている茶葉は、半分以上が在来種。これからも力を入れていきたいと思っています」と話す、浩さん。もともとこの土地に自生していた茶の木は、根がしっかり深くまで張り、病害虫にも強いという利点があるそうです。

「在来種の茶畑は多様な品種が混在しているため、色にもムラがあるんです」と浩さん。この地ならではの茶葉は、他の産地にはない、優しく個性豊かな味わいになります。

「在来種の茶畑は多様な品種が混在しているため、色にもムラがあるんです」と浩さん。この地ならではの茶葉は、他の産地にはない、優しく個性豊かな味わいになります。

「コントロールしようとするのではなく、自然の育ち方に合わせていく」というのが、天野さん親子のお茶づくりの考え方。お茶に限らず、無農薬・無化学肥料の農業育には、大きな苦労がつきまといます。「茶畑の場合は、草取りが本当に大変ですね」と苦笑しながらも、「自然に寄り添う」という姿勢を崩すことなく、多くの壁を乗り越えてきました。

今年4月、熊本は震災にも見舞われました。水俣市の被害は大きくなかったものの、天野さんのお茶を取り扱っている多くの取引先が被災したといいます。茶摘みが最も忙しい時期でしたが、浩さんは寝る時間も惜しんで「自分にできることを」と、不足している物資の援助や運搬に奔走しました。

いまもなお、大変な状況が続いてはいますが、立ち止まってはいられません。「今年は、ミルクティーにしても茶葉の味わいが負けない紅茶をつくりたい」と、目を輝かせる浩さん。自然を愛する志だけでなく、お茶づくりへの志の高さも、多くの人々の共感を呼んでいます。6月下旬頃から始まるという、新茶の紅茶の販売が楽しみです。

「天の製茶園」ネットショップへのリンク

文/大沼聡子

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