冷蔵庫で乾燥させてから焼くと、
皮目がパリッと仕上がる

加熱調理法の中でも“焼く”は、高い温度で調理するのが特徴だ。高温で調理することで表面のたんぱく質が短時間で固まり、身肉に含まれる脂肪や栄養分の損失を抑えられるという利点がある。

通常、魚を焼く前に塩を振る。この塩は単なる味付けのためだけではない。塩の浸透圧作用で魚から臭みの元になる水分(ドリップ)が出て、旨みも増す効果がある。

脂の乗った秋刀魚などは、皮目をパリッと焼き上げたい。東京・四谷の和食店『荒木町きんつぎ』の北村徳康さん(32歳)が、そのためにとる手法はいささか意外だ。

調理指導/調理指導 北村徳康さん(『荒木町きんつぎ』料理人)

「秋刀魚を流水で洗って水分を拭ふき取り、ラップをかけず冷蔵庫にひと晩置きます。冷蔵庫を〝乾燥庫〟として使い、水分を抜いて旨みを封じ込めるのです」

そして極力時間をかけずに焼く。

「火を入れれば入れるほど旨みは逃げてしまいますので、焼き過ぎに注意してください。秋刀魚は切らずに焼くのがいいですね。半分に切って焼くと、せっかくの旨みが流れ出てしまいますから」

【材料(2人分)】

新鮮な秋刀魚2尾、料理酒適量、塩適量(塩は精製塩ではなく、海水を濃縮した天然塩を用意する)。

【手順】

流水で軽く水洗いしたら、キッチンペーパーで水気をしっかり拭取る。

ラップをかけずにひと晩、冷蔵庫で乾燥させる。これで皮目がパリッと仕上がる。

冷蔵庫から出して料理酒を両面にひと塗りする。臭みが消え、旨みが加わる。

塩を表側(盛り付け時に頭が左になる方)と裏側にまんべんなく振りかける。

焼き網全体に油を塗って強火で加熱し、表側を強火で4分ほど焼く。

ひっくり返して、裏面を中火?弱火で6分ほど焼き、中まで火を入れて完成。

秋刀魚の塩焼き。スダチを絞って、大根おろしで味わう。肝きも(わた)を醤油に溶いて秋刀魚の表面に塗って焼くのも美味という。

●荒木町きんつぎ
東京都新宿区四谷3-3-6 アイエス共同ビル3 地下1階
電話 03・6709・8704
営業時間 18時~24時(最終入店)
休業日 不定 要予約。19席。

※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/佐藤俊一 撮影/浜村多恵)。

 

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