冷蔵庫で乾燥させてから焼くと、
皮目がパリッと仕上がる
加熱調理法の中でも“焼く”は、高い温度で調理するのが特徴だ。高温で調理することで表面のたんぱく質が短時間で固まり、身肉に含まれる脂肪や栄養分の損失を抑えられるという利点がある。
通常、魚を焼く前に塩を振る。この塩は単なる味付けのためだけではない。塩の浸透圧作用で魚から臭みの元になる水分(ドリップ)が出て、旨みも増す効果がある。
脂の乗った秋刀魚などは、皮目をパリッと焼き上げたい。東京・四谷の和食店『荒木町きんつぎ』の北村徳康さん(32歳)が、そのためにとる手法はいささか意外だ。
「秋刀魚を流水で洗って水分を拭ふき取り、ラップをかけず冷蔵庫にひと晩置きます。冷蔵庫を〝乾燥庫〟として使い、水分を抜いて旨みを封じ込めるのです」
そして極力時間をかけずに焼く。
「火を入れれば入れるほど旨みは逃げてしまいますので、焼き過ぎに注意してください。秋刀魚は切らずに焼くのがいいですね。半分に切って焼くと、せっかくの旨みが流れ出てしまいますから」
【材料(2人分)】
【手順】
●荒木町きんつぎ
東京都新宿区四谷3-3-6 アイエス共同ビル3 地下1階
電話 03・6709・8704
営業時間 18時~24時(最終入店)
休業日 不定 要予約。19席。
※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/佐藤俊一 撮影/浜村多恵)。