取材・文/編集部
チリやオーストラリアなど、南半球産のワインが人気になって久しいですが、近年とくに注目されているのがニュージーランドのワインです。
以前からソーヴィニヨンブランという品種を使った白ワインで有名でしたが、ここ最近は、ニュージーランドで日本人醸造家がつくっているワインが、世界的にも評価されています。クスダ・ワインズ、コヤマ・ワインズ、サトウ・ワインズなどが、ピノ・ノワールやリースリング、ピノ・グリなどの葡萄品種で高評価のワインを生み出しているのです。
そんな高品質のニュージーランドワインの先駆的存在だったのが、フェルトン・ロード。ニュージーランドの南島、世界最南端のワイン産地と言われる冷涼なセントラル・オタゴにあるワイナリーです。
筆者はずいぶん昔にこのワイナリーを訪ねたことがあります。リースリングなどの白ワインを造って、現地では高い評価を受けながら、当時はまだ日本には入っていなかったのです。それが今では、世界的に認知され、日本にも輸入され、特にピノ・ノワールのワインは発売されるやいなや完売してしまうほどの人気なのです。
このフェルトン・ロードの醸造家、ブレア・ウォルター氏が来日。ザ・リッツ・カールトン東京でメーカーズディナーが行われました。
この日のラインナップは、希少なマグナムを含む次の6種でした。
●リースリング・バノックバーン 2010
Riesling Bannockburn
●シャルドネ・バノックバーン 2010
Chardonnay Bannockburn
●ピノ・ノワール・バノックバーン 2010
Pinot Noir Bannockburn
●ピノ・ノワール・ブロック3 (1500ml) 2010
Pinot Noir Block 3
●ピノ・ノワール・ブロック5 (1500ml) 2010
Pinot Noir Block 5
●フィーヌ
Fine
ちょうどいい熟成を経た、飲み頃とも言えるワインを飲み比べられるのは貴重な機会でした。フランスのブルゴーニュなどとは違う、独特な濃密さと風味をもつワインです。
「バノックバーン(Bannockburn)」というのは、セントラル・オタゴ内の地域名。地図を見るとかなり広いエリアのようですが、ウォルターさんによると、全ての畑で葡萄を育てているわけではなく、土地の栄養分が復活するよう、栽培を休んでいる休耕地もあるとのこと。
狭い日本と違い、余裕のある将来を見据えたワイン造りには驚くばかりです。
ワインに合わせて出された料理は、同ホテルに入っているモダンビストロ『タワーズ』のシェフやソムリエが、事前にワインの味をみて、それに合うように配慮・工夫がこらされたもの。徹底した”ワイン・マリアージュ”と言ってもよいでしょう。
同じくワインメーカーズディナーと呼ばれるイベントはよくありますが、ここまで徹底しているのは珍しいことでした。なんといっても、ザ・リッツ・カールトン東京45階という眺望の良さの中、希少なワインを料理とともに堪能できるのですから。
同ホテルでは時々このようなイベントが開催されます。機会があればワイン愛好家は足を運ぶべきですね。
●ザ・リッツ・カールトン東京
http://www.ritz-carlton.jp/
取材・文/編集部