【家族のかたち】「求められることが嫌で仕方なかった」離婚のきっかけを作ったのは母親で、離婚の原因を作ったのは父親だった～その１～

取材・文／ふじのあやこ

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

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株式会社はぐくみプラスは、「夫婦関係の悩み」についてのアンケート調査（実施日：2024年６月17日～７月１日、有効回答数：既婚男女400人（男性200人、女性200人）、インターネット調査）を実施。「夫婦関係がうまくいかないと感じたことはありますか？」と聞いたところ、「はい」と答えた人は男女ともに68％となった。続いて、「夫婦間の一番の悩み」について質問したところ、男女とも１位は「金銭感覚の違い」、男性の２位、女性の３位は「相手からの愛情を感じられない」となり男女に大きな差はなかったが、「セックスレス（※）」については、男性は３位に対して、女性は５位と違いがあった。

（※）セックスレスとは、特別な事情がないにもかかわらず、双方の合意した性交渉や性的なスキンシップが１か月以上ない状態のことを指す。

今回お話を伺った真帆さん（仮名・42歳）の両親は長く別居状態にあり、真帆さんは母親の元で育っていた。両親が長年離婚しなかったのは、母親が拒否していたからだという。真帆さんはそのことを大人になるまで知らなかった。

母親は父とのダブルベッドから私のシングルベッドで寝るようになった

真帆さんは、両親との３人家族。小さい頃に覚えている両親にはまだ会話があった。いつから会話がなくなったのかは覚えていないというが、夜中に母親の泣き声が頻繁に聞こえることが続いた時期があり、その頃から真帆さんの前での会話がなくなったと振り返る。

「仲良くしている両親の姿は記憶にないです。何かを相談するように話している姿は見たことがありますが、２人に笑顔はありませんでした。

夜中に母親が泣いている声はすごく覚えています。何度かその声が聞こえたことがあって、一度心配して部屋を覗いたことがあるんですが、嫌なところを見てしまって……」

真帆さんが嫌なところと表現したのは、両親の夫婦生活の場面だった。

「当時は小学生で、両親が何をしているのかはわからなかったんですが、母親は嫌そうに泣いていました。私には父親が母親をいじめているように見えて、声をかけてしまったんです。父親から部屋に戻りなさいと強めに言われて、その声が怖くてすぐに部屋に戻りました。

その後母親が私の元に来て、母親が一緒に寝てくれたんです」

その数年後に真帆さんはあのときに見た両親の姿の意味が理解できたというが、何も触れなかった。その頃には、母親は夫婦の部屋から真帆さんの部屋で寝るようになっていた。

「またあの場面に気づいてしまったら気まずくなるんでしょうが、母親は私と一緒に寝るようになっていたからその心配はいりませんでした。私は小柄なほうだったので、シングルベッドでも母親と２人でも余裕があったんです。当時は心霊特集などの番組が盛んで、私はとても怖がりなのにそんな番組が大好きでよく見ていたので、母親が一緒に寝てくれるのは嬉しかったです」

【父の私物は少しずつ愛人宅に運ばれていた。次ページに続きます】