おしゃべりする、ぼーっとする、読む、学ぶ、考える、俗世間の塵を払う──そこは人間にとって大切なものに満ちた場所。喫茶店でしか出会えない“普段着の京都”をご案内します。

豪華な装飾品に彩られたウインナーコーヒーの名店

2階の客席。木製の椅子は精巧な装飾がほどこされて高級感たっぷり。臙脂色の座面も美しい。この椅子目当てのお客さんも多い。

河原町の喧騒を抜けて路地に入ると、雑居ビルの合間に白亜の2階立て洋館が立っている。2階バルコニーの欄干には「築地」という力強い看板が掲げられている。俳優を志していた創業者は、東京の「築地小劇場」からこの名を付けたという。

扉を開けると、ゴッホの筆致のような漆喰の壁と、重厚な装飾品の数々に圧倒される。油彩画や木製レリーフ、絵皿、時計など。そこに荘厳なクラシック音楽が響き渡る。ヨーロッパの古城にまぎれこんだかのようだ。

店主・原田さん(左)は、ハイドンの曲やロシアのクラシックが好み。昨今はCDで音楽を流している。
レコード棚にはSP盤がアルバムごとに収められている。創業当時は専属のレコード係がいたという。

甘みと苦みのハーモニー

「ウインナー珈琲」700円と「ムースケーキ」450円。「ジン珈琲」750円などアルコール入りコーヒーもある。

コーヒーもヨーロッパ式。ホイップクリームをのせた「ウインナー珈琲」が名物だ。普通のホットコーヒーやブレンドコーヒーはメニューにない。3代目店主の原田雅史さん(48歳)によれば、「ウインナー珈琲」を始めたのは終戦直後という。

「物資がとぼしい時代だから、粗悪なクリームを使う店も多かったようです。粗悪品だと攪拌しても泡立たない。ちゃんと泡立つクリームを使うことが、売りになっていったようです」

コクのあるクリームに負けないよう、深炒りの豆を使用し、ネルでドリップしている。

一口すするとクリームの甘い香りが鼻腔に広がり、やがてコーヒーのしっかりとした苦みが口に広がる。もう一口すすりたくなる苦みである。スモーキーな余韻を味わいながら、音楽を浴びる。ぜいたくな時間だ。

大きさが不揃いで、カラフルなタイルが美しい。ランプ型の照明が温かく迎えてくれる。

築地
京都市中京区河原町通四条上ル1筋目東入ル米屋町384
電話:075・221・1053 
営業時間:11時~17時
定休日:無休 
交通:阪急電鉄京都線京都河原町駅より徒歩約1分
軽食はケーキのみ。

【立ち寄り情報】
・河原町の繁華街や先斗町通まで徒歩約1分。
・店主・原田さんおすすめの飲食店は、先斗町通にある先斗町歌舞練場南隣のスペイン料理店『アッシュ・デュ・ポント』。タパス(小皿料理)がおいしいとのこと。徒歩約8分。

取材・文/大塚 真 撮影/塩﨑 聰
※この記事は『サライ』2021年10月号別冊付録より転載しました。

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