氷の形態によってもオン・ザ・ロックの風韻は変わる。丸い大きな氷を使用すると、ウイスキーの温度がゆっくり下がるので、重厚な飲み心地になる。逆にキューブの氷をいくつか入れると、急激に温度が下がり(時には氷点下にもなる)、爽快な口当たりになる。
「ウイスキーに氷を入れて、マドラーで搔き混ぜると約5度になります。好みにもよりますが、この5度あたりが香りも味も広がり、ウイスキーの魅力がほどけてゆく温度ではないでしょうか」

バーボンはキューブで、シングルモルトは丸い氷がおすすめだ。

また、「これはロックではないのですが」と前置きして佐久間さんがすすめてくれたのがウイスキーフロート。グラスにクラッシュアイスを入れミネラルウオーターを半分ぐらい注ぐ。その上にウイスキーを静かに浮かすのである。水とウイスキーの比重の違いを利用したカクテルだ。始めはロック、飲むうちに水割り、普通の水となり変化を楽しめる。

暑い時期はウイスキーもグラスも冷蔵庫でキンキンに冷やして、クラッシュアイスをたっぷり入れてつくるロックも旨い。

最後に、家庭の冷蔵庫でロック向きの氷を作る方法を佐久間さんから伝授された。それは10×15×15cmほどの容器に水(水道水でよい)を入れ、冷蔵庫の製氷室で2日間かけて氷にするのだ。時間をかけて凍らせることで、透明で締まった氷ができあがる。

02_MG_0033-LAチーフブレンダーの佐久間正さんがロックに推奨するニッカウヰスキー製品。「ザ・ブレンド」660㎖、「宮城峡」500㎖、「竹鶴12年」500㎖(左より、いずれもオープン価格)。

 

取材・文/北吉洋一 撮影/高橋昌嗣

 

※本記事は『サライ増刊 男のだいどこ』2012 夏号に掲載されたものです。
※記事の内容は掲載当時の情報です。

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