取材・文/池田充枝

アリ・シェフェール《フリデリク・ショパンの肖像》1847年 油彩、カンヴァス credit:Dordrechts Museum

アリ・シェフェール《フリデリク・ショパンの肖像》1847年 油彩、カンヴァス credit:Dordrechts Museum

19世紀ロマン主義音楽を代表する作曲家、ピアニストとして広く知られているフリデリク・ショパン(1810-1849)。

ショパンはポーランドのワルシャワ郊外で生まれ、「ポロネーズ」をわずか7歳で作曲するなど早くからその才能を開花させ、20歳でワルシャワ音楽院を首席で卒業します。
1931年、芸術の都パリに出たショパンは、旺盛な作曲活動やサロンでの演奏会など、音楽活動は順調でしたが、女流作家ジョルジュ・サンドとの悲恋を経て、結核という重い病をかかえ、孤独のうちに死を迎えています。

“ピアノの詩人”と称されるショパンが残した数々のピアノ曲は、繊細で華麗かつ軽妙。今も人々の心を捉え続けています。また、その名を冠した「ショパン国際ピアノコンクール」は世界の名立たるピアニストを輩出しています。

日本とポーランドの国交樹立100周年を記念した大規模なショパン展が開かれています。(11月24日まで)

本展では、国立フリデリク・ショパン博物館から出展の美術作品や資料を中心に、国内外から自筆の楽譜や手紙、油彩画、版画、ポスター、彫刻、書籍など約250点で、ショパンの音楽と生涯をたどります。母国ポーランドに関わる油彩画、遺愛の品など見逃せません。

マルチン・ザレスキ《ヴェジブノからのポーランド軍部隊の帰還》1831年 油彩、カンヴァス (c)Ligier Piotr / Muzeum Narodowe w Warszawie

マルチン・ザレスキ《ヴェジブノからのポーランド軍部隊の帰還》1831年 油彩、カンヴァス (c)Ligier Piotr / Muzeum Narodowe w Warszawie

本展の見どころを、ショパン展神戸実行委員会にうかがいました。

「本展の見どころはいくつもありますが、なかでもショパンの自筆の楽譜は見逃せません。
自筆譜は、所蔵するフリデリク・ショパン博物館でも実物が公開される機会は限られ、ポーランド国外に持ち出されることは滅多にありません。今回は、日本初公開となる『エチュード ヘ長調 作品10の8』(製版用の自筆譜)が展示されます。製版用の自筆譜は、出版のためにショパンが清書で、自筆譜の分類のなかでも重要とされているものです。

フリデリク・ショパン《「エチュード ヘ長調 作品10の8 」自筆譜(製版用)》1833年以前 インク、紙 Photo:The Fryderyk chopin Institute

フリデリク・ショパン《「エチュード ヘ長調 作品10の8 」自筆譜(製版用)》1833年以前 インク、紙 Photo:The Fryderyk chopin Institute

作品のそれぞれの箇所に対するショパンの感情や、いくつかの段階を踏んだ思考の跡など、印刷された楽譜からはわからない意思が伝わってきます。

フリデリク・ショパン《自筆の手紙-パリのヴォイチェフ・グジマワ宛て(エディンバラ、1848年10月3日)》1948年 インク、紙 Photo:The Fryderyk chopin Institute

フリデリク・ショパン《自筆の手紙-パリのヴォイチェフ・グジマワ宛て(エディンバラ、1848年10月3日)》1948年 インク、紙 Photo:The Fryderyk chopin Institute

また、今回は同時にショパンの自筆の手紙も展示されます。ぜひこの機会に、自筆の楽譜や手紙を通してショパンの息づかいを感じてください。新しいショパンに出会えるかもしれません」

《ショパン所蔵のベル。中国趣味の布袋像》作者不詳 19世紀 ブロンズPhoto:The Fryderyk chopin Institute

《ショパン所蔵のベル。中国趣味の布袋像》作者不詳 19世紀 ブロンズPhoto:The Fryderyk chopin Institute

ピアノの詩人はどんな生涯をたどったのか、会場で間近にその足跡をご覧ください。

【開催要項】
「ショパン―200年の肖像」展
会期:2019年10月12日(土)~11月24日(日)
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3階
住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
電話番号:050・5542・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://chopin-exhibition.jp
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
巡回:久留米市美術館(2020年2月1日~3月22日)、
練馬区立美術館(2020年4月~6月開催予定)、
静岡市美術館(2020年8月~9月開催予定)

取材・文/池田充枝

 

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