マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。今回は、重責を与えられ、上司にも部下にも気を遣うことの多い管理職の人たちに送る処方箋です。

抱えきれないほどの仕事を抱えながら、部下や他部署とのコミュニケーションに時間を使い、上にも下にも横にも気を遣って、相談する相手もいない……そうやって疲れ切っている管理職をたくさん目にしてきました。会社から大きな期待をされ、重要なポストを与えられたことに責任を感じ、その責任の大きさに押しつぶされそうになっている方も多いでしょう。しかし、その「責任の重さ」の正体を明らかにし、自分に与えられている役割に集中することで多くの管理職が救われたのも事実です。

ここでは、コンサルタントの私がご相談を受けた時に実際に行ったアドバイスをできるだけたくさんご紹介します。「悩める管理職」のみなさんが、疲れや悩みから解放されることは、みなさん自身はもちろん、部下の成長や悩みの解消、会社のさらなる発展にも必ずつながりますので、ぜひ試してみてください。

1:自分の役割を確認する

まずは自分自身に与えられている役割を確認しましょう。

評価制度に何と書かれているのかを確認してみてください。評価制度を見ても何をすべきかわからない場合(項目が多すぎるとか曖昧過ぎて判断できないなど)は、部下や他の管理職も迷っている可能性が高いため、評価制度の改善が必要です。

しかし、すぐに改善することは難しいので、まずはこの1年、自分に求められていることを箇条書きにして上司に確認しましょう。何度かのやり取りで上司とすり合わせた「求められていることリスト」ができれば、それぞれの項目が、この3か月でどのような状態になっていればいいのか(できれば定量、定量にできなければ誰のOKが必要かを決める)を書き込み、それも上司と確認します。

そこでできたリストが、「あなたが今日からやること」です。

2:時間を整理する

何よりもあなた自身の健康が重要です。したがって、睡眠や定期的な運動、趣味や家族との時間を確保することを忘れてはなりません。

時間は有限ですので、時間管理をする必要があります。まずは自分の1週間の業務を振り返り、ご自身の作った「求められているリスト」に入っていないことをやっている時間をカウントしてみてください。この時点で勤務時間の半分以上が「求められていないこと」だったことに気づき、多くの「悩める管理職」が愕然とされるのを目の当たりにしてきました。その時間を「求められていること」と、上記のような健康や家族のために使えばいいのです。

3:部下の成長機会を奪っていたことを確認する

自分の勤務時間のうち、「求められていることリスト」以外の時間はあなたの仕事ではありません。「でも、自分がやらなければやってくれる人がいないし、ほかの人に負担をかける」と、ほとんどの悩める管理職の方々がおっしゃいます。

しかし、その言葉を整理すると、「自分ができるようになった仕事を誰かができるようにすることは不可能」「自分がやっていれば、他の人は誰もやらなくていい」「仕事=負担」「部下の成長は待てないし期待していない」と言っているのと同じです。

あなたがやっている以上、部下ができるようになることはありません。今、負担であることでも、その負担によって、できなかったことができるようになれば、それは部下の未来にとってもあなたにとっても会社にとっても大きな財産になるのです。部下の成長のためにも、自分の「求められていることリスト」に集中しましょう。

4:優先順位をつける

「忙しい」「疲れる」と感じている方ほぼ全員が、優先順位がつけられていません。タスクが重なってオーバーフローしている状態です。Aというタスクをやっている途中で、Bというタスクが振られると、Bに移り、次にCというタスクが振られると、Cに移っていく。そうすると、「今、Cをやっているのに、AもBも終わっていない」という集中できない状態に陥ります。それだけでもパフォーマンスが下がりますが、CからBやAに戻ったときに「どこまでやっていたっけ?」と必ず手戻りが発生します。同時並行でタスクを進めているように見えて、タスク間を移るたびにロスタイムが発生しているのです。

今すぐ、抱えているタスクに優先順位を付け、手戻りが発生しないように1週間分のスケジュールを作って、上司に確認しましょう。1:自分の役割を確認する、2:時間を整理することによってできた時間があるため、これまでそれがない前提で戦っていたあなたであれば難しいことではありません。次の1週間がイメージできた状態で週末を迎えれば、ゆっくりと余暇を過ごすことができるはずです。

5:あなたはマネージャーです

「悩める管理職」の多くはプレイングマネージャーです。プレイングマネージャーはプレイヤー機能を持つマネージャーですが、「プレイヤー機能をより求められている」と信じ込んでいる方々が大半です。プレイヤーとして優秀だから管理職に選ばれた方々ですから、どうしてもプレイヤーに戻ろうとするのも仕方のないことかもしれません。

しかし、上述のように、それでは部下は成長せず、管理職のプレイヤー機能に依存したチームが出来上がるのです。プレイングマネージャーとは「マネージャー」です。あなたのプレイヤー時間を短くしながら、部下が成長することでチームとして勝利するようマネージメントに集中しましょう。マネージメントのトライアル・アンド・エラーで悩むべき存在なのです。

6:悩みの質を変える

「仕事で悩むこと」は必要なことです。しかし、「悩み」にも必要なものと不要なものがあります。「悩める管理職」のみなさんが悩んでいることは、本当に必要なものでしょうか。上記1から5を読んでみて、不要な悩みを排除してみましょう。

不要か必要かの見分け方のコツはほかにもあります。その悩みの時間軸を「過去」「今」「未来」に分類することも有効です。管理職であるみなさんに必要な悩みは、より「未来」にあるからです。どうせ悩むなら、悩みの質を変えましょう。悩みも成長するのです。

7:うまくいかなければ、変えればいい

「部下が思ったように成長しない」「なかなかチームの成績が上がらない」「自分がやらなければ回らない」と、管理職の仕事はうまくいかないことの連続です。しかし、必要以上に重く受け止める必要はありません。

「うまくいかない」ということは「今やっていることに不足がある(間違っている)」ということです。ということは、あなたがやることはシンプルです。今やっていることを変えればいいのです。不足であれば増やせばいいし、増やせないか間違っている場合は、違うことをやればいいのです。

この管理職としてのトライアル・アンド・エラーのみが、「管理職としての成長」につながるのです。

まとめ

以上が、悩める管理職のみなさんへのアドバイスです。まだまだたくさんありますが、今回は優先順位の高い7つにしておきましょう。実は、かく言う私もかつては「悩める管理職」でした。今では、悩んでいたのではなく迷っていたんだと気付くことができました。管理職が迷って判断や行動が鈍れば、部下はもっと悩みます。

健康で、やるべきことに集中し、時間を管理して問題を先に潰し、部下を成長させてチームを勝利に導くために悩む、そんな管理職になるきっかけにしていただければ幸いです。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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