写真はイメージです

あなたは今勤めている会社に満足しているだろうか? よく「社員満足度調査」という形で社員の声を紹介されることは多い。社員満足度調査は社員の本音を伝えるものとなっているのだろうか。マネジメントコンサルティングの「識学」では、転職後に感じた後悔や不満について調査を行った。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」より社員満足度調査の本音をご紹介しよう。

* * *

理由は「人に見られていそう」が最多

「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学(本社:東京都品川区、代表取締役社長:安藤広大)は、2022年8月15日(月)「社員満足度調査に対するエンゲージメント調査」を行いました。
その結果、回答者の77.6%が「本音以外を書いたことがある」と回答しました。また、7割以上の方が「満足度調査で会社が改善されるとは思っていない」ことも明らかになった他、「満足度調査に意義がある」と回答したのはわずか2割という結果になりました。

調査背景

昨今、会社の制度見直しやリモートワークの導入など、多くの企業で会社での働きやすさやライフワークバランス等が注目されています。社内環境に様々な変化がある中で、実施することに囚われるあまり、社員の満足度調査が形骸化している企業も多いのではないでしょうか? そこで、会社員の方は満足度調査にどのようなイメージを持っているのか、どのような不満を感じているのかなどを調査しました。

【調査概要】
調査機関:株式会社識学
調査対象:全国の企業に勤める20歳~59歳の男女で、直近3年以内に社員満足度調査を受けたことがあり、不満を感じたことがある方
調査期間:2022年8月15日(月)
調査方法:インターネット調査

あなたは、社員満足度調査に不満を感じたことがありますか。(単数回答、n=300)

本調査対象者を抽出する事前調査で社員満足度調査に不満を感じたことがあるか聞いた結果、「ある」55.0%、「少しある」45.0%と驚くことに回答者全員が何かしらの不満があると回答しました。

Q1.あなたは、社員満足度調査のどの様な点に不満を感じたことがありますか。(複数回答、n=300)

会社員の方に、満足度調査でどのような点に不満を感じたことがあるか聞いたところ、「調査結果が仕事内容や職場環境の改善に反映されない」が50.3%と最も回答が多く、次いで「本音が書き辛い」が36.3%、「質問数が多すぎる」が31.0%でした。

Q2.社員満足度調査と聞いてイメージするものをお答えください。(最大3つまで回答)

その他回答
●本当に関係社外秘なのか信用できない
●調査は手段であるべきだがただの目的になっている
など

社員満足度と聞いてイメージするものについての設問では「無意味」が40.3%と最も多い結果となりました。次いで「面倒」(36.7%)、「回答しにくい」(37.3%)、「時間が掛かる」(36.0%)とネガティブなイメージを持っている方が多いことがわかりました。

Q3.直近の社員満足度調査の回答にどれくらい時間をかけましたか。(単数回答)

満足度調査の回答時間に関する質問では、「15分未満」と「15分~30分未満」合わせて約87%が比較的短い時間で回答を済ませていることがわかりました。一方、回答者の1.3%が満足度調査に1時間以上時間をかけているという結果が出ました。

Q4.あなたは、直近3年間で社員満足度調査を何回受けましたか。(単数回答)

直近3年間で満足度調査を受けた回数で最も多かったのは「1回から3回未満」(61.0%)でした。中には「5回以上」という回答が7.3%ありました。1年間に何度も実施している企業もあるようです。

Q5.あなたは、社員満足度調査の回答に本音以外を書いたことがありますか。(単数回答)

満足度調査の回答で本音を書いたことがあるかどうかの質問に関しては、驚くことに77.6%が「本音以外を書いたことがある」、「少しある」と回答しました。本音以外を回答しているのであれば、正確なデータを取ることができず、形骸化していると言わざるを得ないのではないでしょうか。

Q6.前問で、社員満足度調査の回答に本音以外を書いたことがあると回答した方にお伺いします。その理由をお答えください。(複数回答、n=233)

その他回答内容
●本当のことを書くと評価が悪くなりそう
●会社にチェックされるから
●以前本音を書いたら、チクチク嫌味をいわれたから
●改善に反映されない
●会社としての忠誠心を問う問題だった 
など

本音以外を書いたことがある方に理由を聞いたところ、最も多かったのは「人に見られていそう」の45.9%でした。次いで「面倒くさい」が37.3%、「質問量が多い」が28.3%という結果になりました。その他の回答では「本当のことを書くと評価が悪くなりそう」、「会社にチェックされるから」といった回答がありました。

誰かに見られているという意識から本音を書くことができない人が一定数いるということがわかりました。回答者の本音が書かれていないというのは、結果を基に改善を行えていない実施側だけでなく、回答する側にとっても満足度調査が形骸化しているといえるのではないでしょうか。

Q7.勤務先において、社員満足度調査の結果はどの程度反映されていると思いますか。(単数回答)

勤務先で満足度調査の結果がどの程度反映されていると感じているか聞いたところ、73%の方が「反映されていない」と回答しています。「反映されている」と回答している方でも「しっかり反映されている」と感じているのは全体のわずか5.0%という結果になりました。

Q8.あなたは、社員満足度調査の実施に意義があると思いますか。(単数回答)

満足度調査の実施に意義があるかどうか聞いてみたところ、「どちらともいえない」が49.3%と最も多くなりました。「意義はないと思う」が31.3%、「意義があると思う」が19.3%と意義があると感じている人の方が少ないという結果が出ました。

Q9.あなたは、社員満足度調査で会社が改善されると思いますか。(単数回答)

満足度調査で会社が改善されると思うか聞いてみたところ、「そうは思わない」「全く思わない」と合わせて76.7%の方が改善するとは思わないと答えています。

Q10.前問で、社員満足度調査で会社が改善されると思わないと回答した理由をお答えください。(複数回答、n=230)

改善しないと思う理由については、「会社の風土は簡単には変わらない」(46.1%)が最も多く、次いで「結果を受けても改善しようとする責任者がいない」(37.0%)「人間関係などデリケートな問題までは解決できない」(30.0%)、「実施側の社員に権限がない」(24.8%)という結果になりました。人間関係などの解決が難しい課題の場合もありますが、そもそも改善しようとする人がいない、実行する権限がないなど、会社の改善まで行える体制作りができていないことが伺えます。

【調査結果まとめ】

満足度調査の結果は会社の改善にほとんど反映されていない

今回の調査結果から、社員満足度調査に対して回答者全員が何かしらの不満を持っているということがわかりました。どの様な点に不満に感じているかについては「調査結果が仕事内容や職場環境の改善に反映されない」が50.3%と最も回答が多く、次いで「本音が書き辛い」が36.3%、「質問数が多すぎる」が31.0%でした。さらに社員満足度調査のイメージについて聞くと(Q2)、「無意味」40.3%、「面倒」(36.7%)、「回答しにくい」(37.3%)、「時間が掛かる」(36.0%)が上位となりました。また、勤務先で満足度調査の結果が反映されていると思うか(Q7)については、「反映されないと思う」という方が7割以上という結果になりました。

これらを踏まえると、時間を割いて満足度調査に回答しても、調査結果が会社の改善に反映されていないため、無意味や面倒といったイメージに繋がっていると考えられます。実施側は、生産性の向上や職場の環境改善ではなく、満足度調査を実施すること自体が目的になってしまっている可能性があるのではないでしょうか。

回答者側にとっても形骸化してしまっている

社員満足度調査に本音以外を書いたことがあるか(Q5)について聞いたところ、全体の77.6%が「本音以外を書いたことがある」と回答しています。その理由(Q6)では「人に見られていそう」が45.9%と最も多くなりました。その他の中には「本当のことを書くと評価が悪くなりそう」や「会社にチェックされるから」といったものもあり、人の目や評価を気にしてしまい、不満があっても本当のことを書けない人がいるようです。また、「面倒くさい」が37.3%、「質問量が多い」が28.3%となっており、こちらでも回答することへの煩わしさを感じているため本音を書いていないということがわかりました。人目が気になる、面倒と感じるなど理由は様々ではありますが、本音が書かれていないという点では、反映しても意味がなく、回答者側からしても満足度調査が形骸化しているといえます。

満足度調査の実施に意義はあるのか?

満足度調査の実施意義について(Q8)聞いてみたところ、「どちらともいえない」が49.3%と最も多く、「意義があると思う」と感じている人は19.3%という結果になりました。一方、満足度調査で会社が改善されると思うか(Q9)の質問では、76.7%の方が「改善するとは思わない」と答えています。これらのことから、会社の経営の改善においては、満足度調査の実施は意味をなさない可能性が高いことがわかりました。これには、「簡単に会社の風土を変えられない」、「改善しようとする責任者がいない」といった、体制作りができていないという事情もあるようです。

さらに、弊社のマネジメント理論「識学」の観点でも、社員満足度を経営における指標として扱うことは意味が薄く、むしろ、会社を成長させる上での弊害となる可能性があると考えています。その理由は、何を満足と感じるかは人それぞれであり、社員一人ひとりの満足度を上げようとすると、管理者のマネジメントコストが莫大になるからです。また、「なぜあの人の要望だけ通って、私の要望は通らないのか」といった不平等感も生まれる原因にもなりかねません。

* * *

いかがだったでしょうか。「社員満足度調査」を鵜呑みにせず、現場の声を拾い上げ、改善できるような体制作りが重要ではないでしょうか。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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