企業には必ずある「離職」。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」から、「離職」についての問題と対策について学ぼう。

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企業規模の大小問わず必ず存在する問題が「離職」です。規模だけでなく、創業期、成長期、成熟期と組織のフェーズにおいてもあらゆる局面でこの問題は起きてきます。

しかし、この問題への明確な対峙の方法を持っている企業はあまり多くはありません。今回はこの離職の問題について、識学の視点から考察していきます。

離職が引き起こす真の問題とは?

「離職」という言葉を聞いてポジティブな印象を持つ方は少ないでしょう。今まで一緒に戦っていた戦友が、創業期からいた功労者が、重要な役割を担っていたキーマンが去っていく。

これらは確かに企業にとっては損失です。ただ一方で、組織をかき乱していた人など明らかに組織に戦力ダウンをもたらしていた方が辞めていくことは、多くの場合「良かった」と受けとめられます。

ということは離職とは、人が辞めていく事が問題なのではなく、「戦力が低下すること」が問題だということになります。

間違った離職対策が火種を大きくする

そんなことはわかっているつもりなのですが、「ちょっと話があるのですが…」と不意に面談を申し込まれる時のあの何とも言えない嫌な感覚は何度経験しても慣れるものではありません。

そして暗い顔をした退職希望者から一見もっともそうな退職理由を聞きます。明らかな家庭の問題などであれば整理も付きますが、いくら理由を聞いても全く本心が見えない退職者もいます。

そんなことがもし短い期間で数件続いたりしようものなら、誰でも根拠のない不安が押し寄せてくるものです。

そこで、まずはとにかくその不安を止めたいがために、離職そのものの回数を減らしにかかることがあります。例えば全社員とワンオンワンを実施する、懇親会の頻度を増やすなどです。

すると当然、「離職」が起こっている理由は判明します。判明したのであれば当然それを解消しに動きますので、確かにあの嫌な思いをする回数は減らすことはできます。ただ、これで本質的に問題を解決したことになるのでしょうか?

「辞めたい」と言い出す人の数を減らしに行く過程では、必ず「個別調整」が必要になります。「あの人とは働きたくない」「あの仕事はしたくない」「もっと早く帰れると思って入社した」など聞けば聞くほど出てきます。

上記のような対応はそれらをひとつずつ調整したということです。するとその後の社内はどうなるでしょうか? そうです。「言えば必ず聞いてもらえる」「自分にとって嫌なことは全て解消してもらえる」という空気が蔓延していきます。

この状態で組織が目指す方向に全力で向かって行けるでしょうか? 何かやりたいことがあっても、向かいたい方向があっても、社員たちの意識は常に自分本位になってしまっています。それでは、組織はそこに進んでいかなくなります。

起こるべき離職と防ぐべき離職

では、離職はどう取り扱うべきなのでしょうか? まずそこでご認識いただきたいことは、「離職」そのものをむやみに止めてはいけないということです。

組織は生き物です。生き物ですから「代謝」があります。古く機能しなくなった細胞は新しいものと入れ替わっていくのが自然です。そうやって健康が保たれていきます。ですから、全く離職が発生しないということも実は問題なのです。

離職はその全てを防げばよいというものではなく、「起こるべき離職」と「防ぐべき離職」に分けて対応をする必要があるということです。

では、どんな離職は起こるべきで、どんな離職は防ぐべきなのかを考えていきたいと思います。

まずは「起こるべき離職」ですが、2種類あります。1つは組織のルールを守らせようとすることで発生する離職です。

組織内にあるルールを守る事は組織の構成員としての最低限の役割ですので、これができないという方を組織内に留めておくことは出来ません。ですから違反者は取り締まらなければなりませんが、その過程で起こる離職は組織が守るべきルールを築かれていて、しっかりそれを維持しようとしている証拠ですから起こるべきといえます。

2つ目は、課せられた役割を果たさない、もしくは果たせない者が不足を認識した際にそれを埋めることを断念して発生する離職です。組織は各自が役割を果たすことで維持されます。ですから役割を果たさないまま存在することは本来許されません。

今できなくとも、できるようにならなければならない。それを断念してしまったのであればそれは仕方ないということになりますし、役割を果たすことがメンバーに健全に求められているということですから、これも起こるべき離職といえます。

では、逆に防がなければならない離職はどのようなものでしょう。それはルールを守り、役割をしっかり果たしている人の離職です。組織とそこに所属する個人は、双方の望むもの(識学では有益性とお伝えしています)がそれぞれ満たされているからこそ、その関係性が維持されます。

ところが、この離職は組織の望むことに応えている個人に、組織側が望むものを与えられていないことよって起こっているのです。つまりこの離職は組織の成長のスピードが個人の成長のスピードに負けてしまっているということを意味しているのです。

この状況を放っておけば優秀な人材がどんどん流出していってしまいます。そして、もうお分かりの通り、この問題を引き起こしている大きな要因のひとつは、止める必要のない離職にまで配慮してしまうことによって起こる組織全体のスピードの低下なのです。

まとめ 離職の原因を冷静に見極めることが重要

せっかく費用をかけて採用した人が辞めていく。離職はやはり表面だけを見ると全て避けたくなるものです。しかし、その全てを防ぐことはできませんし、それをすべきでもないことはご理解いただけたかと思います。

離職が発生した際は慌てずに、まずはその離職がなぜ発生したのかを冷静に見定めましょう。そして、それが良い離職であると判明すれば、気にせずに目的に向け邁進してください。

この記事を書いた人
有手啓太 シニア講師。2003年中央大学商学部を卒業後、大学受験予備校の営業として5年ほど従事。その後、大学受験塾を10年ほど経営したのち、識学に入社し、8か月で課長に就任。2019年7月からは名古屋支店の支店長として従事する。

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いかがだったでしょうか。一口に「離職」といっても、起こるべきものと防ぐべきものがあること、そして、まずは離職発生の原因を考えることが重要、ということがおわかりいただけたでしょうか。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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