現在のコロナ禍において、リモートワークとなっている企業も多いことだろう。だが、リモートワークによって仕事が滞っていないだろうか。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」から、リモートワークについての知見を得よう。

* * *

リモートワークで成果が上がらないのには理由がある

御社のリモートワークはうまくいっていますでしょうか?

「なぜか生産性が上がらない」「どうにも成果が出ない」など、うまくいっていないようであれば、マネジメントに以下のような「5つの無駄」が隠れているはずです。

(1)部下の「仕事ぶり」に対する評価、監視をしている→NG!
(2)部下の「プロセス」への細かなチェック、細かな相談をしている→NG!
(3)部下が「腹落ち」するような説得・説明をしている→NG!
(4)部下の「モチベーション」を上げる作業をしている→NG!
(5)何も決まらない会議をしている→NG!

これらの無駄が御社の足を引っ張っている可能性があります。

5つの無駄について詳しくお話しする前に、そもそもリモートワークに移行できる組織と、なかなか移行できない組織があります。

なかなかリモートを導入できない組織では、リーダー層が「部下からの反発」を気にしている場合があります。
「リモートでやるなんて無理っすよ!」
「こういう場合はどうするんですか? 絶対無理が出ますよ!」
などの部下からの反発が気になって、スパッと決断できないのです。

ここに大きな組織の問題点があります。

そもそもリーダーは、責任に基づいて決断することが仕事です。そして部下はそれに従うのが基本。なのに、そういう「位置関係」になっていないわけです。

本来はリーダーが「リモートでいく」と判断したら、すぐ下の責任者は「与えられた環境下でどう実行するか」を考えるべきなのに、文句を言ってしまう。リーダーが決断したときに、部下が「他責思考」になってしまう組織は、危険性のある組織です。

まずは、組織として成果を上げるには、リーダーと部下の位置関係をそれぞれが明確に認識することがなにより大切なのです。


リモートワークで失敗する組織の5つの無駄

さて、それでは冒頭に紹介したリモートで失敗する組織の「5つの無駄」をひとつずつ見ていきましょう。

(1)部下の「仕事ぶり」に対する評価、監視→NG!

リモートワークに移行して、部下の「仕事ぶり」を見てはいないでしょうか?

日本の企業は「ちゃんと仕事しているかな?」「頑張っているかな?」ということばかり気にして、仕事ぶりを評価する文化が根強くあります。

そういう会社では、これまでは働いている姿を見ることができたため評価できました。しかしリモートワークになると途端にどう評価していいかわからなくなるのです。

常に「ちゃんと働いているかどうか」監視しておきたい。「リモートだとサボるんじゃないか」という疑念にさいなまれて、監視するほうもされるほうも相当なストレスにさらされます。

評価すべきは「仕事ぶり」ではなく「結果」です。

そもそも会社は、マーケットから「結果」で評価されています。よって、社員一人一人も「結果」で評価されるべきなのです。そして対価も「結果」に対して支払われているはずです。

つまり結果だけを見ていればいいのです。よって、ルール違反さえしなければ「仕事ぶり」を見る必要も、監視する必要もまったくないのです。

(2)部下の「プロセス」への細かなチェック、細かな相談→NG!

部下の仕事のやり方にまで口を出す上司がいます。

細かいスパンでチェックすることが習慣化しているため、それができないリモートでは不安になってしまいます。また部下のほうも細かく相談する仕事の仕方に慣れているので不安になってしまうのです。

こうした「プロセスへのチェック」「細かな相談」も無駄です。

上司は求める「結果」を設定したら期限までは口を出さないことです。そうしなければ部下は成長しません。考える力も身につきません。もし部下から相談が上がってきても、部下に与えている権限内であれば突きかえすべきです。そうすれば、部下は自分で考えるようになります。

管理すべきなのは「プロセス」ではなく「結果」なのです。

(3)部下が「腹落ち」するような説得・説明→NG!

上司「これをやってほしいんだけど……」
部下「うーん、ちょっとまだ納得してないですね」
上司「そうか、どのへんが納得できないかな?」

こんな会話をしていないでしょうか?

リモートだと特に、メッセージだけのやりとりになるため、「部下が腹落ちしていないんじゃないか」「納得していないんじゃないか」が気になってしまうのでしょう。

指示をするときは「部下が腹落ちする」のが必要条件だと思っている上司は多くいます。しかしこのプロセスも無駄です。そもそも「部下が腹落ちする」ことは必要のないことなのです。きちんと上司と部下の関係が「責任者と非責任者の関係」になっていれば、部下の納得を引き出さなくても問題ありません。

「部下に腹落ちをとりに行く」のではなく「何か問題があればいつでも相談してきてよい」という体制をつくるようにしましょう。そのとき、部下に与えている権限内の相談であれば自分で考えさせるということも大切です。そうしないと、コミュニケーション量が無駄に増えるだけですし、いつまでたっても部下が育ちません。

(4)部下の「モチベーション」を上げる作業→NG!

(3)と同様、部下のモチベーションを上げる作業も無駄です。

リモートでは、部下のモチベーションを上げたり、鼓舞したりするのが難しいでしょう。士気を上げる飲み会もできません。ただ、そもそも仕事に「モチベーション」は必要ありません。モチベーションというものは「成長感の先に勝手に発生するもの」です。他人に上げてもらうものではないのです。

リモートでもきちんとした管理ができていれば、モチベーションが上がる環境を作ることは可能です。

(5)何も決まらない会議→NG!

リモートになって、「会議をすることが仕事だ」と思っていた人にとっては不安が湧くかもしれません。会議がないだけで業績が下がる気がするため、リモートに移行できないという会社もありそうです。

そもそも何も決まらない会議であればやる必要はありません。進捗会議であれば「結果」の確認と「次の設定」だけをすればいいでしょう。何かを決める会議であれば、責任者が情報収集をした上で決断をすればいいため、それほど時間はかからないはずですし、リモートでも十分に可能なのです。

「責任者」つまり「決断者」が曖昧な状況で、いくら会議をしても何も決まりません。無駄にダラダラと長い時間がとられるだけです。それをリモートで再現すると悲惨なことになるでしょう。


これらの無駄は、リモートであるかどうかに関わらず成果を上げるために大切なポイントです。ただリモートになることで、より直接的に、より如実に「成果」という結果に現れてきます。5つの無駄を排除して、リモート環境下でも成果が出せるようにしたいものです。

引用元:安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長note「組織にルールを。」
https://note.com/kodaiando

この記事を書いた人:識学総研編集部
株式会社識学内にある、コンテンツを企画・制作する編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作。

* * *

いかがだっただろうか? 長引くコロナ禍においてリモートワークで成果を上げることは企業にとっても重要なこと。マネジメントの無駄がないかどうかを見直し、リモートワークでも成果が上がるようにしていきたいものだ。


引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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