職務経歴書

転職をする際に、履歴書とは別に企業から提出を求められることが多くなった「職務経歴書」。企業側は、個人の業務経験やスキルを確認することができ、応募する側にとっても、自分をPRできる大切な書類ですね。

転職回数が多い方は記入する職務が多くて困ったり、逆に経験の浅い方は何を書けばいいのかわからなかったりするかもしれません。職務経歴書を記入する際、皆さんはどんな項目で苦労されているのでしょうか。

そこで、株式会社ビズヒッツ( https://bizhits.co.jp/ )は、転職時に職務経歴書を作成した経験がある500人に「職務経歴書の作成」についてアンケート調査を実施しました。職務経歴書を作る際、どのような項目に悩まれているのでしょうか。

■職務経歴書の作成に苦労した?

まずはじめに「職務経歴書の作成に苦労しましたか?」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。

「とても苦労した」「まあ苦労した」と答えた人が7割以上おられることがわかりました。 多くの方が職務経歴書の作成の際に何らかの苦労をしていることがわかります。

では、いったいどの項目を記入する際に苦労したのでしょうか。

■職務経歴書で苦労した項目ランキング

職務経歴を書く際に苦労した項目について、回答数が多い順にランキング形式でご紹介します。記入された経験をお持ちの方は、思い当たる項目はあるでしょうか。

1位になったのは「自己PR」でした。2位以下は「職務要約」「職務内容」「職務経歴」と続きます。 どれも定番の項目ですが、苦労する方が多いようです。

では、どんな理由で各項目に苦労したのか、具体的な回答を紹介します。

▷1位 自己PR(184人)

・アピールできるような目立ったスキルがないので、書く内容に困った (28歳/女性)
・転職先の業種に沿って、自分のこれまでの経験がどのように活かしていけるか、無理のない文脈で書くことに苦労しました(36歳/女性)
・自分の経験や強みを、具体的な数字などをあげてうまくまとめるのが大変だった(47歳/男性)

「自己PR」で苦労したと答えた方は、大きく2グループにわかれます。

まず「アピールできることがない」「自分の強みがわからない」など、自己分析や経験不足のため「書く内容」そのものに悩んだという人。

もうひとつは、経験や強みはわかっているものの「どう書けば応募先の会社に興味をもってもらえるか」といった「書き方」に苦労したという人でした。

▷2位 職務要約(105人)

・特殊な仕事内容だったので、どうしても簡潔にまとめにくく長くなりがちで、要約するのが大変だった(27歳/女性)
・職務経歴を要約しポイントをアピールすることに苦労しました(35歳/男性)
・職歴がたくさんあるので、簡潔にまとめるのに苦労した(56歳/女性)

職務要約は職歴・経験を簡単にまとめた部分で、職務経歴書の冒頭に3~4行で書くことが多いものです。簡潔にまとめつつも採用担当者に興味を持ってもらえる内容にするため「経験した仕事のうち、どの程度を書くべきか」「この会社にはどんな内容で書くべきか」などと苦労した方が多いことがわかりました。特に転職回数が多い人の方が、簡潔にまとめるのに苦労するようです。

▷3位 職務内容(76人)

・全く違う業種への転職でしたので、業務内容をわかりやすく記載するのに苦労しました (26歳/女性)
・守秘義務にかかることが多く苦労した。具体的なことがほぼ書けないか、書いていい範囲に迷うことが多かったです(30歳/男性)
・なるべく自己PRをうまくいれながら、文章にすること(42歳/女性)

異業種・職種への転職の際、「専門用語を使わずに説明するのが難しかった」など、前職での仕事内容をわかりやすく説明することに苦労したという人が目立ちました。

「具体的なプロジェクト内容は書けないので、守秘義務を守りつつ記載するのが難しかった」というもどかしい思いをした声も。 また職務内容の中に実績や自己PRを入れ込むことに苦労した方もいたようです。

▷4位 職務経歴 (65人)

・職を転々としていた時期があったので、いつどこに勤めていたかを逆算するのが大変だった(23歳/女性)
・16年の経歴の中でどれをピックアップして記載すべきかを悩んだ(38歳/男性)
・異動が多かったので、それぞれの仕事内容を思い出しながら書くのが大変で苦労しました(42歳/男性)

転職回数や部署異動の経験が多い人たちから「全部を思い出してまとめるのが大変」「いつどの会社・部署にいたかを忘れた」という回答が多く寄せられました。

経験した仕事が多すぎて書ききれず「派遣会社経由で働いたものは、ひとつにまとめて記載」「働いた期間が短いものは書かなかった」という方も。

転職回数が多い人なら、時系列で並べる「編年体形式」ではなく、仕事内容毎にまとめて記載する「キャリア形式」の職務経歴書の方がスッキリ見える場合もありますね。

▷5位 これまでの実績(20人)

・転職時は社会人3年目で、職務経歴書に書ける「経歴・実績」なんてないと思っており、書くことが思いつきませんでした(26歳/女性)
・数字で表現をしないと実績が伝わらないとエージェントからいわれて、過去の数字まで探すのが面倒でした(28歳/女性)
・誇張せず、できるだけ正確かつ高評価の表現で記載すること(45歳/女性)

「数字でアピールできる実績がない」や「目立つ実績がない」といった理由で苦労したという回答が見受けられました。

また、伝わりやすい書き方に苦労した方も。書くのが難しく「転職エージェントに相談してアドバイスを受けた」「転職した先輩の職務経歴書を参考にした」という体験談も寄せられました。

▷6位 志望動機(12人)

・条件で選んだため、それを正直に書くわけにはいかなかったから (27歳/女性)
・複数社面接に臨んだので、それぞれの会社にあった志望動機を考えるのに苦労した (35歳/男性)

「待遇や勤務地を優先して選んだから、本音を書きにくかった」という回答が目立ちました。「待遇だけで選んだ」とストレートに伝えてしまうと、マイナスイメージに繋がることもあります。本当の志望動機が「待遇・条件」であっても、どこかしら応募先企業に「自身の経験を活かせるポイント」「キャリアプランとリンクする点」などを見つけるよう考えたいですね。

▷7位 転職・退職理由(9人)

・面接を受ける企業に悪いイメージを与えないような退職理由の書き方を意識しなければならなかったです (23歳/女性)
・私は自己都合で公務員を辞めました。公務員というだけで「なんで辞めるの?」と突っ込まれると思い、なんと書けば当たり障りがないかとても悩みました (26歳/女性)

退職理由の伝え方によっては、採用担当者にネガティブな印象を与えかねず、面接で質問攻めに合うことも。そのため「転職・退職理由」の書き方に気を配ったという声もありました。

「転職によってキャリアアップを目指している」「転職に一貫性がある」など、ポジティブで前向きな理由を伝えられるといいですね。職務経歴書を悩みながら作成されたことがわかりましたが、作成の際に何か参考にされたものはあるのでしょうか。

■職務経歴書の作成で参考にしたものは?

職務経歴書の作成に当たり、参考にしたもの」を聞いたところ、以下のような結果に。参考にした理由やメリットなど、具体的な回答と共に、回答数が多かった順にランキング形式で紹介します。

▷1位 転職エージェントのアドバイス(87人)

・頼れる人がエージェントしかいなかった。転職活動の際に人事がどこを見ているかはエージェントが一番詳しいだろうとも思ったから (27歳/男性)
・本当に何を書いて良いか分からなかったから。アドバイスというより文章を考えていただいた (32歳/女性)
・客観的な視点で評価・判断してもらえるので。自分では気づかなかった長所を指摘してもらうことで、転職活動の武器が増える (45歳/女性)

「ひとりでは考えられなかったから」「身近に転職経験者がおらず、頼れる人がいなかったから」という理由で、転職エージェント・アドバイザーに頼ったという人が多数。転職エージェントに職務経歴書を添削してもらうことで「書類選考で通りやすくなった」と感じた方もいました。

また8位以下に「転職エージェントのサイトの記入例」「転職エージェントからもらった参考資料」を参考にしたという回答も入っていました。

▷2位 転職サイト(77人)

・「職務経歴書 書き方」とネット検索したら出てきたため (22歳/女性)
・職務経歴書の書き方や内容がわからず、転職サイトなら参考になるサンプルがあるのではないかと思ったから (36歳/女性)
・転職サイトを使っていて、自分に合っていると思ったから (45歳/男性)

転職サイトにある「書き方マニュアル」や「テンプレート・記入例」を参考したという声が多数。 大手転職サイトには業種・職種別の見本が掲載されており、テンプレートもダウンロードできるようになっているので便利です。

「業種・職種に合わせて作成するため参考にした」など、自分の状況にあう記事や見本を参考にしたという回答が寄せられました。ただ、転職サイトを参考にしつつも、「自分でやってみることが大事だと思ったため、極力自分でやりました」といった声も。

▷3位 ネット上の例文・テンプレート(63人)

・テンプレートをもとにすることで、文章を作成する手間を省きたかったから (28歳/男性)
・手軽に見られるので、ネットのテンプレートを参考にしました (35歳/女性)
・どう書くことが正しいのか、伝わりやすいのか確認したかったので (40歳/女性)

掲載元は転職サイトであったり、個人のブログであったりすると推測されます。
「手軽に様々な記入例が確認できて、基本を押さえられる」「わかりやすい」といったメリットを感じたという声もありました。

「エージェントに登録しておらず、頼りがネットだけだった」「周りに頼れる人がいなかったから」といった理由で、ネット上のテンプレートを参考にした方も。

▷4位 転職成功者などのブログ(40人)

・販売から全く違う職業に転職した人の経験が書かれていて、職務要約・自己PR・志望動機の書き方など参考になる部分が多かったため (28歳/女性)
・実体験が一番参考になると思ったから、転職成功者の個人的なブログを参考にした (35歳/男性)

ブログを参考にした理由は「経験者の意見を参考にしたいから」「説得力があるから」。 中には複数のブログを参考にした人もいました。

▷5位 書き方のアドバイス記事(28人)

・転職用の本を買ったものの自分の職種に合うのがあまりなく、インターネットで「業種名+職務経歴書」と検索して出てきたサイトを参考にしました (31歳/男性)
・幅広い情報を集められるからネットで記入の仕方などを調べた (52歳/女性)

インターネットで「職務経歴書 書き方」などで検索して、出てきたページを複数のぞいてみたという方が多数。「手軽」「わかりやすい」「比べやすい」という意見がありました。

▷6位 ハローワークの資料(27人)

・まずは基本を知るため。色々なパターンを想定して書かれてあったため参考になります (31歳/男性)
・疑問点がすべて書かれていて解決したから (43歳/女性)
・まずは基本を知るため。色々なパターンを想定して書かれてあったため参考になります (31歳/男性)
・疑問点がすべて書かれていて解決したから (43歳/女性)

ハローワークの窓口やセミナーでもらえる資料が「まとまっている」「わかりやすい」「役立つ」と回答が多数。また、「ハローワークのものだし安心だった。ネットの情報も参考になるけど、情報が多すぎてどれを参考にしたらいいか迷う」という声もありました。

▷7位 ハローワークのアドバイス(26人)

・初めての転職で何もわからない状態だったため、ネットの情報ではなく相談員の方に尋ねた方がいいと思ったから (20歳/女性)
・忖度のない他者の意見を聞きたくてハローワークを利用 (40歳/男性)

「ハローワーク相談員は経験豊富だから」「親身になってくれたから」「家族に相談するのは恥ずかしくて」という回答が寄せられました。「退職理由がパワハラだったことも含め相談にのってもらいたかった」という理由でハローワークでの相談を選んだ方もいました。

***

コロナ禍で離職し、職務経歴書を書く方も増えているかと思います。経験が浅く自信のない若者の場合は、自分自身の長所や強味が認識できていないこともあるようです。

キャリアコンサルタントがいるハローワークを利用したり、 親子で 「仕事」の話をしたりするのも良いかもしれません。ひとりで悩んでいるより、第三者と話すことで何かを感じるきっかけになるかもしれませんね。

調査概要
■調査対象:転職時に職務経歴書を作成した経験がある人
■調査日:2021年4月15日~17日
■調査方法:インターネットによる任意回答
■調査人数:500人(女性327人/男性173人)

 

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