仕事をしていて、どうしてもやる気が出ないときがある。そんなとき、あなたはどうするだろうか?
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」から、やる気を起こす方法を知ろう。
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やる気が出ないあなたは「感情」に振り回されているかもしれない
何か達成しなくてはいけないことがあるのに、なかなかやる気にならない。
集中力がすぐに途切れてしまう。
もしくは嫌な人がいて、怒りの気持ちが残ってしまう。
そんな悩みを持つビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。
では、モチベーションを上げるためには、どうしたら良いでしょうか?
なぜ、集中したり、頭がクリアな状態で仕事にかかるのが難しいのでしょうか?
意識的にやる気を出すために顔を洗ったり歯を磨いたりする?
気分を変えるために場所を変える?
コーヒーを飲む?
多くの人が、やる気を維持しようとして、いろんな方法を試しています。
集中するためには一切の「感情」を排除するのが大事だと言うのは、認知科学者の苫米地英人さんです。「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」では、頭がもやもやしている原因は何か、について科学者の立場から教えてくれています。
本書では、やる気が出ないので1日に何度も歯を磨く編集者が紹介されています。
「それいいなぁ。オレも会社で歯磨きしてみようかな」
と思いましたか?
それはいけませんね。
なぜなら、歯磨きで一時的にすっきりしても、1、2時間後には頭が使い物にならなくなるからです。そうしたら、あなたはきっとまた歯磨きをすることでしょう。
気分がダレる→歯磨きをする→頭がごちゃごちゃする→歯磨きをする。
つまりはその無限ループです。[1]
本来、この歯磨きのような、強制的な「やる気スイッチ」は必要ありません。やるべきことは、自分が支配されている「感情」に気づき、感情による思考の乱れをコントロールすることなのだそうです。
感情を切り離す練習をする
苫米地さんは「感情に浸る」ほど無駄なことはないと断言します。
実は、「感情にひたる」ほどあなたにとってむだなことはありません。
なぜなら感情とは、環境の変化によって生じる生体反応にすぎないからです。
[2]
さらにこうまで言っています。
世の中にはそういった感情をある程度コントロールできる人と、簡単に左右される人がいます。感情に支配されて生きている人は論理をつかさどる新しい脳(前頭前野)より感情をつかさどる古い脳(扁桃体)に支配されているわけですから、原始的。進化の度合いでいうとゴリラや猿に近い、ということになります。[3]
なかなか厳しいです。
では、どうやって感情を切り離すのか。
そのコツの一つは「ゴールを持つこと」です。
そして驚くことに、彼はゴールに関係ない感情は全てゴミだと認識することが重要だ、と断言します。
一見、有用そうな嬉しい感情でも、楽しい感情でも、感情はすべてゴミなのです。
英語が話せるようになりたい、起業したい、自分のプロジェクトを成功させたい。
本当に自分が目指しているゴールに向かって進もうとすると、感情のゴミは減るのです。
感情をコントロールするコツ
もう一つは、すべての感情を娯楽にすることだと、苫米地さんは言います。
実は、動物としての人間が感じる感情は、すでに生命の維持とは関係ないものが増えています。ですので、「悲しい」「腹が立つ」「後悔する」などの感情を、「単なる娯楽だ」と切り捨ててしまうことです。また、「楽しい」「嬉しい」という感情すら、「ちょっとしたハッピー」や「安易ないい気分」を追い求めるために、不必要な感情だと言います。
ゴールを実現すると決めたら、「上司に対する怒り」も「ちょっとしたハッピー」も全て感情のゴミだというのです。
また、筆者は「感情の暴走の始まりを意識せよ」と言います。
つまり、腹が立ったり、悲しい気持ちになったり、という感情を客観的に見つめ、感情の動きが起きたら、理由を考えて、対処すると。
これは、スティーブン・コヴィー博士の有名な本『七つの習慣』の「刺激と反応の間にスペースを入れる」と言うのと、ちょっと似ているかもしれません。
また、自己責任感がある人ほど、ショックな出来事に対する理不尽度は小さくなる、とも筆者は主張しています。「自分にも責任がある」と考えると、心の傷は深くならず、結果的にモチベーションの維持を邪魔せずに済むというわけです。
本当のゴールは何かを意識する
しかし、そうは言っても、会社に行くことを考えた途端に「嫌だなぁ」と嫌な上司の顔が浮かんでしまう人もいるでしょう。
その場合は、もしかしたら、設定しているゴールが「本当のゴール」ではないのかもしれません。では本当のゴールとはなんでしょうか?
本当のゴールとは、自分が心から実現したいゴールです。自分が心からやりたいことに向かっているなら、常に密度高く集中して仕事を進められるのです。[4]
さらに著者は、「やりたいことをやるから、集中力も、生産性も、能力も上がるのです」と書いています。要するに、自分が心から望むゴールを先に用意することが、必要だと言うわけです。
他人との比較をやめる
この「本当のゴール」を知るために大事なことは、「他人からの情報」を受けることに、自覚的になることです。
例えば、転職したら薔薇色の生活になる! と信じて転職したけれど、思った通りではなかった
高学歴・高収入・高身長の男性を手に入れて結婚したのに、不満だらけ
欲しいと思って買ったのに、買ったら嬉しくない
こうしたことが起きるのは「他者からの刷り込み」を元に思考した結果だと筆者は指摘します。
田舎暮らし、アーリーリタイア、起業、海外移住、全て同様です。
本当は自分が何をやりたいのか。
それは本当に心から望んだゴールなのか。
他者から刺激されて「与えられた」ゴールではないか?
メディアの影響を受けて、「羨ましい」と生じた理想像ではないでしょうか。
ここを考えてみないと、本当の集中力やモチベーションは発揮できません。
筆者は「毎日、満員電車で会社に行っている人にも、真に自由な人はいます」としていますが、おそらくこれが真理でしょう。
筆者はマレーシアに住んでいますが、実際に、マレーシア移住に関するテレビを見て、移住された方が「こんなはずではなかった」とガッカリされているのを見てきました。もしかしたら、「楽しそう」「嬉しそう」という他者に刺激されたゴールに、そもそもの問題点があったのかもしれません。
自分のゴールは自分で探すしかないのです。
【参照】
[1]出典 「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」苫米地英人
[2]出典 「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」苫米地英人
[3]出典 「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」苫米地英人
[4]出典 「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」苫米地英人
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いかがだっただろうか。やる気を起こすには、感情をコントロールすることが効果的である、ということがおわかりいただけただろうか。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/