あなたの愛猫は、少しづつ食べる派? 与えた食事は全部食べる派?

空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては、意外と知られていないことが多いようです。人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。

そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の真相を解明していきたいと思います。

みんな揃ってお行儀よくごはんを食べるわさびちゃんちの保護猫たち……。かと思いきや、食いしん坊のアジア(左から3匹目)は、自分の分を早々に食べ終わって、あわびの分を横取りしようとしています。

みんな揃ってお行儀よくごはんを食べるわさびちゃんち(文末に解説あり)の保護猫たち……、かと思いきや、食いしん坊のアジア(左から3匹目)は、自分の分を早々に食べ終わって、あわびの分を横取りしようとしています。

猫はなぜ、出されたご飯を一度に全部は食べず、残すのでしょうか。一口食べて、すぐに満足して顔を洗い始めたかと思うと、またしばらくして食べていたりします。人から見たら、ちょっと食べてすぐに飽きているようで、遊び喰いに見えてしまいます。

前回までは、私が飼っていた愛猫・小太郎の話も含め、猫の食べ物の好き嫌いなどについてお話しました(詳しい記事を読む)。今回は、猫の食事行動パターンについて考えてみたいと思います。

歴史的に見ると、ネズミなどから穀物などを守るために、人間によってヤマネコを家畜化したのが猫(イエネコ)です。そうした当初の役割を果たしている農場暮らしの猫は、放っておくと1日に平均12回ほど食事をするという調査報告があります(1977『External influences on the feeding of carnivores』)。これは、猫の本能に根ざしたハンティングの習性に由来するものと思われます。

猫は本来、小鳥やネズミなどの小動物を食べては休憩、食べては休憩といった具合に細切れに食事をする動物です。1匹捕まえて食べて満足し、またお腹が空いてきたら捕まえる、といった具合です。この調査によると、ハンティングの上手な猫になると、1日に12匹くらいの小動物を捕まえて食べることができるそうです。

こうした猫の習性を理解すれば、一日にどのような配分で食事を与えるのが良いかわかってきます。

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