取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。
両親の不仲は小学生の頃から。唯一の仲間だった姉も母親を避けて家を出て行った
今回お話を伺った、佳奈さん(仮名・38歳)は両親の離婚から、20歳を超えてから母親が再婚、義父ができました。義父とはすでに一人暮らしを始めていた後だったため、一度も同居はしていないと言います。
「両親が離婚したのは私が就職して5年ほど経った23歳の時で、両親はともに50代でした。私には年の離れた姉がいるので、両親は言わば熟年離婚でした。
でも、小さい頃から両親は決して仲が良くはなかったので、離婚を伝えられた時もそこまで大きな驚きはありませんでした」
両親の不仲で覚えている最初の記憶は小学生のとき。母親の怒声が夜中に響き、目を覚ますこともよくあったとか。
「当時は団地に住んでいて、私は居間のすぐ隣の部屋だったんです。両親というより、母親の声しか覚えていないんですが、泣きながらヒステリックを起こしているような声が家中に響いていました。私はその奇声を聞くのが嫌で嫌で……。よく私の部屋の向かいにある姉の部屋で一緒に寝てもらっていました。姉は6歳上で、姉というより小さいお母さんみたいな存在でした。私が眠れるまでずっと姉は一緒におしゃべりをしてくれていましたね。姉がいてくれたから、両親の不仲もそこまで気にならなかったのかもしれません」
そんな救いのような存在だったお姉さんですが、母親との不仲が原因で高校を卒業後に家を出ていきます。佳奈さんが12歳のときでした。
「母親は感情的になると手をつけられないほど激高するタイプで、温厚で誰にでも優しい姉とも仲は険悪でした。姉が高校生の時にはあまり口を利いているところも見たことがなかったほど、お互いに見えていないようで。姉は家族の誰にも相談することなく、寮のある就職先を見つけてきて、そのまま出ていきました。
すごく寂しかったですよ。当時は携帯もなかったし、寮といっても会社が契約していたアパートで、姉は固定電話を引いていなかったから連絡を取る手段がなくて……。そこから姉とは年末年始やお盆などに会うだけの関係になってしまいました」
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