取材・文/池田充枝
「恐ろしいツメ」を意味するデイノニクス。アメリカで発見された新種の肉食恐竜にこの名が付けられたのは1969年。このデイノニクスから恐竜研究の新しい時代が始まったといわれます。以降50年の間、恐竜学は日々確実に研究が進み発展しています。
この夏、世界初公開となる恐竜研究の成果が一堂に会する展覧会が開かれています。(10月14日まで)
本展では、「謎の恐竜」とされてきたデイノケイルスの、全身復元骨格や頭部と足などの実物化石を世界初公開。北海道むかわ町で発見された「むかわ竜」の全長8mにおよぶ全身実物化石、全身復元骨格を地元以外で初公開するなど、迫力ある展示のほかに、抱卵や子育て、色、性別、絶滅の謎など、ここ50年で塗り替えられてきた恐竜研究の「新常識」と研究成果の変遷を重要標本で辿ります。
本展の見どころを、国立科学博物館の企画展示課にうかがいました。
「恐竜は元々、愚鈍な生き物だとされていました。それが、鋭いカギツメを持つデイノニクスが発見され、この恐竜は素早く活発に動き回り、群れで狩りをする知能を持っていたと考えられるようになったことから、それまでの恐竜のイメージが一新。『恐竜ルネサンス』と呼ばれる新しい恐竜観の時代が始まりました。本展では、このデイノニクスの命名の元となった世界に一つの貴重な標本『ホロタイプ標本』を、日本で初公開します。
また、モンゴルのゴビ砂漠で長さ2.4mの巨大な前あしだけが見つかり、約40年間、『謎の恐竜』とされてきたデイノケイルスは、2000年代に入って2体の化石が発見されたことにより、全身像が明らかになりました。本展ではデイノケイルスの全身骨格を世界で初めて復元し、その驚きに満ちた姿を会場でご覧頂けます。
ほかにも、北海道で見つかった大型恐竜『むかわ竜』は、全身の8割もの骨が見つかったことから、日本の恐竜研究史上最大の発見といわれています。その全身実物化石と全身復元骨格を、地元・むかわ町以外で初公開します。
世界有数の化石発掘地のモンゴルからも貴重な化石が初来日します。2体が並ぶように化石で発見されたオヴィラプトル類のカーンは、オスとメスだった可能性が高いことから、『ロミオとジュリエット』という愛称で有名になりました。
このように国内外の重要標本を一堂に集めた見どころ満載の展覧会を、ぜひお楽しみください」
日々進化する恐竜学、数千万年前の地球のドラマを会場で体感してください。
【開催要項】
特別展「恐竜博2019」2019年7月13日(土)~10月14日(月・祝)
会場:国立科学博物館
住所:東京都台東区上野公園7-20
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
FAX:03・5814・9898
https://dino2019.jp/ 公式サイト
開館時間:9時から17時まで、金・土曜日は20時まで、8月11日(日・祝)~15日(木)および18日(日)は18時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:7月16日(火)、9月2日(月)、9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)
取材・文/池田充枝