満月の光だけで撮影された風景写真で名高い月光写真家・石川賢治氏が、7年の歳月をかけて撮り綴った作品群を発表する写真展『宙(そら)の月光浴』が、福岡市天神にあるイムズホールにて開催されている(~2019年9月25日まで)。

「悪魔の喉笛」ブラジル・アルゼンチン / イグアスの滝 / 2007 年 撮影:石川賢治

太陽光の46万5千分の1という微かな満月の光だけで撮影された、壮大な自然の景観。石川氏の月光写真は、1990年、写真集『月光浴』(小学館刊)として発表され一大センセーショナルを起こした。その後今日までに日本全国で数多くの展示会を開催するとともに、出版された写真集も10冊をかぞえ、幅広い年代の多くの方に愛されている。

石川賢治氏

当初は「満月の夜の山の上から海の底まで」をテーマに地球上の大自然の様々な場所の風景を発表してきた石川氏であるが、次第にその作風は空間的広がりと深みを帯び、近年ではある種の宇宙実感や悠久の時間感覚をも表現するに至っている。

「満月は一年間に12回しかありません。写真集『宙(そら)の月光浴』の制作にあたっては満月を求めて世界を巡りましたが、7年間をかけました。今回の展示会は、そうして撮影したイグアスの滝(ブラジル・アルゼンチン)、モニュメントバレー(アメリカ)、ウユニ塩湖(ボリビア)等の作品を中心に、バオバブの樹(マダガスカル)、ガラパゴス諸島の化石的動植物を撮影した作品群、そしてサイパン島や、天空に浮かぶヒマラヤ連山(チベット)、京都の金閣寺、ケニアのサバンナなど過去の作品を含め、約70点を展示します」(石川氏)

「星とイナズマ」アメリカ / モニュメントバレー / 2008 年 撮影:石川賢治

「湖に映るバオバブ」マダガスカル / ムルンダバ / 2005 年 撮影:石川賢治

ほの暗く照明を落とした会場では、石川氏の世界中の撮影に同行したサウンドクリエーター中田悟氏が、撮影現場の隣りで録音した満月の夜の自然音を流れる。まさに目と共に耳でも「月光浴の旅」を体感でき、五感が刺激される満月空間となっている。作品の中でも樹齢7200 年とも言われる巨樹・屋久島の縄文杉の写真は、実物大のサイズで迫力満点である。

「私は3年前に、故郷である福岡の糸島半島に拠点を移しました。今回の写真展は地元福岡での開催ということで、思い入れもひとしおです。世界規模での人間と自然との共生が希求される今、一人でも多くの方に満月の下に広がる地球の姿を観て頂きたいと思っています。」(石川氏)

石川氏の作品は、そのブルーの色彩とともに、人間が支配できない宇宙の摂理を訴える。新元号・令和の由来となったのも、万葉集の言葉『令月』である。令和最初の秋、満月の美しさと月への慈しみ・親しみを体感しに訪ねたい写真展である。

【開催概要】
石川賢治月光写真展
(そら)の月光浴
space of spirit

会期
2019 年9 月11 日(水)~9 月25 日(水)

開場時間
10:00~20:00 ※最終日は19時閉場

(いずれも入場は閉場の30 分前まで)

会場
天神 イムズ9階 イムズホール

福岡市中央区天神1-7-11

入場料
一般 800円(600円)/高・大生 600円(500円)/中学生以下無料
( )内は前売り、10名様以上の団体割引料金

詳細は石川賢治公式ホームページ

 

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