文・写真/石橋貴子(スコットランド在住ライター/海外書き人クラブ)

スコットランドでは近年、手作りで少量生産の「クラフト・ジン」が人気を呼んでいる。高品質のクラフト・ジンは、単独で飲んでももちろん美味しい。しかし、せっかくならばつまみとの相性を考えて、ジンの美味しさを倍増、いや相乗効果で4倍にしよう。

クラフト・ジンは、フルーツ、ハーブ、スパイス等のボタニカル(植物)で個性的な香りをつけており、つまみにも同じ香りを用いると相性が高まる。またジンの代表的な楽しみ方であるジン・トニックは、フライや魚・肉の脂等をさっぱりリフレッシュしてくれる。

さあ、本場スコットランドのジン専門バー、酒屋、ジンメーカー、そして大使館シェフがおすすめする5品をご紹介しよう。

【ジン専門バーおすすめ】
ジン入りタルタルソースで食べるフィッシュ&チップス

 

スコットランドはイギリス連合国の一部。そのイギリスの代表的なつまみといえば「フィッシュ&チップス」。スコットランド人もこの揚げ物が大好きで、専門店のみならず、パブ、カフェ、レストラン、どこで食べてもカリッカリに揚がった美味しいものが食べられる(イギリス飯はマズイという噂もあるが、本当に美味しい!)。

フィッシュ&チップスにはモルト・ビネガー(麦芽酢)と塩をかけて食べるのが一般的だが、ジンとの相性を考えるなら、ジンを加えたタルタルソースをおすすめしたい。さあ、カリッカリのフィッシュ&チップスにタルタルソースをつけて、シュワッシュワのジン・トニックで流し込もう。揚げ物とタルタルソースの組み合わせなのに、意外と脂っぽさを感じさせない。繊細な舌を持つ日本人をもとりこにすること請け合いのイギリス飯だ。

【酒屋おすすめ】
マティーニから発想した、オリーブの酢漬け

 

「ジンと一緒に食べるおすすめは何ですか?」とスコットランドの酒屋さんで質問したところ、「スコットランド人は、最初の一杯目にジン・トニックを飲むから軽いつまみ、例えばオリーブが良いんじゃないかな」。考えてみれば、ジンをベースにした代表的なカクテル・マティーニには必ずオリーブが入っている。これは間違いない。

まずはジン・トニックと組み合わせてみた。酢漬けの酸っぱさが飲むスピードを加速させてくれ、ジン・トニックがすいすい喉を通っていく。

ストレートのクラフト・ジンとも試してみた。オリーブの香りは、豊かなフレーバーのクラフト・ジンとぴったり。またジンはストレートだと40度以上のアルコール度数を持つが、オリーブは口直しとしてもぴったり。オリーブ、ジン、オリーブ、ジンと永遠のループになりそうな危険な組み合わせだ。

【クラフト・ジンメーカーおすすめ】
胡椒風味のスモーク鯖

 

スコットランドの鯖は、脂が乗っていて美味しい。スーパーではスモークされた鯖が真空パックになって売られており、冷蔵庫の常備品にもなる重宝な一品だ。味付けはプレーン、唐辛子等あるが、ジンには胡椒味のスモーク鯖がおすすめだ。

このスモーク鯖はあらかじめ調理されており、オーブンまたは電子レンジで温めるだけで食べられるのも嬉しい。オーブンで温めるならば、ズッキーニやプチトマトなどの野菜を一緒にグリルすると、野菜も摂れてさらにヘルシーだ。

さあ、ジン・トニックと一緒に召し上がれ。鯖の脂をジン・トニックがさっぱりとリフレッシュしてくれる。胡椒の風味は、豊かなフレーバーのクラフト・ジンとぴったり。
クラフト・ジンの懐の深さをあらためて気付かせてくれるフードペアリングだ。

【クラフト・ジンメーカーおすすめ】
香り高くて塩っ辛い、熟成チョリソー

 

「チョリソーは、スペインでは?」そんな声も聞こえてきそうだが、スコットランドは欧州の一部であり(欧州から離脱する「ブレグジット」前は関税もかからない)、スーパーには欧州産の食材がたくさん並んでいる。美味しさを追求するために、地の利を利用しない手はない。

クラフト・ジンメーカーがおすすめするのが熟成肉。有名なところがチョリソーだ。チョリソーを少し調べてみると、塩辛いという意味のラテン語が由来であり、塩っ気はアルコールのお供にぴったりだ。そんな塩っ辛いチョリソーには、香辛料も豊富に含まれている。香り高いクラフト・ジンの相棒として最高の簡単おつまみだ。

【英国大使館シェフおすすめ】
これぞ王道!スコティッシュ・サーモン

Scottish development international提供

 

見た目は綺麗なオレンジ色、舌ざわりはまるでとろけるようなスコティッシュ・サーモン。脂が良質で、その証拠にSashimi Quality(刺身で食べられるほど新鮮な状態)と謳い、売られているほど新鮮で質が高い。そんな良質なサーモンを食べるのなら、やはり良質な酒。スコットランドのクラフト・ジン以外に選択肢はないだろう。

サーモンは刺身用をマリネにして楽しもう。マリネ液にはジンを大さじ一杯ほど加えて。クラフト・ジンのフレーバーには柑橘系が用いられていることが多いので、レモンをサーモンに一絞りしたり、グレープフルーツをサーモンに乗せて食べるのもいい。そしてジン・トニックにも、同じ柑橘を加えて楽しもう。サーモンはさっぱりと、ジン・トニックの香りはさらに高まり、柑橘系つながりで食べ物と飲み物の相性は抜群だ。

文・写真/石橋貴子
スコットランド在住。コピーライター・編集者としての25年以上の職歴と、ジャーナリスム専攻ならではの視点を活かし、日々アンテナを張り巡らせて、スコットランドの隠れた魅力をお伝えしている。海外書き人クラブ所属。(http://www.kaigaikakibito.com/

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

「特製サライのおせち三段重」予約開始!

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店