取材・文/片山虎之介

桜の花を鑑賞しながら、たくさんの人が集まって酒を飲み交わす「花見」のような風習は、日本ならではのものらしい。その始まりは、江戸時代、江戸・上野の山から起こったといわれている。桜の時期には貴賤を問わず、老若男女が集い、現代と同じような花見風景が繰り広げられたようだ。

花見に酒とおいしいものは、つきもの。花より団子、などと分けて考えず、花も団子も、そして酒も、ぜんぶまとめて楽しむのが、伝統の花見だ。

花の下で食べるおいしいものといえば、江戸時代も今も「すし」が人気だ。握りずしもいいが、ときには「ちらしずし」も味わってみたい。ちらしずしは握りずしに勝るとも劣らない魅力がある。何よりも、作る店の個性が反映されているところが楽しい。

店それぞれに工夫をこらした「おいしさの折詰」ちらしずしを味わい、酒盃に浮かんだ桜の花びらなどを愛でつつ、親しい人たちと春のひとときを過ごしたい。

取材・文/片山虎之介
世界初の蕎麦専門のWebマガジン『蕎麦Web』(http://sobaweb.com/)編集長。蕎麦好きのカメラマンであり、ライター。伝統食文化研究家。著書に『真打ち登場! 霧下蕎麦』『正統の蕎麦屋』『不老長寿の ダッタン蕎麦』(小学館)、『ダッタン蕎麦百科』(柴田書店)、『蕎麦屋の常識・非常識』(朝日新聞出版)などがある。

※本記事は「まいにちサライ」2011年4月3日配信分を転載したものです。

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