11月中旬頃に紅葉が見ごろとなる愛知県新城市の鳳来峡。天竜奥三河国定公園に位置し、宇連(うれ)川の滝や淵、岩などが美しい渓谷美を作り出しています。
この川は川底が板を敷き詰めたように見えるため、板敷川とも呼ばれています。橋の上から眺める秋の彩りは格別です。
渓谷沿いに旅館が並ぶのが湯谷(ゆや)温泉です。約1300年前に鳳来寺を開山した利修仙人によって発見され、源泉は万病に効くと伝えられています。渓谷を眺めながら湯あみができる宿も多く、森林浴も同時に楽しめます。
温泉街の入り口には自動販売機の温泉スタンドもあり、温泉を持ち帰ることもできます。泉質は塩化物泉。良くあたたまり、疲れがとれる温泉です。
湯谷温泉では、毎年1月中旬から2月末にかけて、花祭りが行なわれます。これは国の重要無形民俗文化財に指定されているもので、「テーホヘ」という掛け声とともに、笛や太鼓に合わせて、湯釜の回りを鬼が乱舞するという勇壮な舞。観客も飛び入り参加できるそうです。奥三河に伝わる伝統芸能の一端を楽しむことができます。
【湯谷温泉発展会】
http://www.yuya-spa.com/
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。