日本酒に興味はあるけれど、「アルコール度数が高くて飲みにくそう」「どれを選べばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。実は日本酒には、初心者でも親しみやすい、飲みやすい銘柄がたくさんあります。今回は、そうした日本酒の特徴や選び方、おすすめ銘柄をご紹介します。

文/山内祐治

日本酒で飲みやすい種類の特徴とは

日本酒の飲みやすさは多因子ですが、入口として 1.アルコール刺激(度数・ガス感・温度)2.香味の分かりやすさ(甘み・香り・酸の輪郭)の2軸が捉えやすいと思います。

1. アルコール度数の低さ

一般的な日本酒のアルコール度数は15〜16度程度ですが、最近では10〜14度のやや低アルコールの日本酒も見られます。特に夏場には、アルコール度数が低めで酸味の効いたタイプがおすすめです。形容詞で説明すると、やさしい、やわらかい、透明な、おだやかな、爽やかな、と表現されることが多いタイプです。

2. 液体としての滑らかさ

適度に熟成された(とくに低温で)純米酒や本醸造酒は、時間の経過とともに滑らかさが生まれ、口当たりがまろやかになります。この滑らかさが、口の中への導入をスムーズにしてくれるのです。形容詞で言うと、まるい、滑らかな、やさしい、やわらかい、まるやかな、につながる表現となります。

また、純米吟醸酒のように米を磨いて造られたお酒は、雑味が少なく洗練されているため、飲みやすく感じることでしょう。一方で、普通酒や本醸造酒の中にも、日々に寄り添う親しみやすい飲みやすさを持つものが存在します。パック酒や特別本醸造酒にもまた、飲みやすいお酒があることを覚えておきましょう。

日本酒の飲みやすいフルーティな味わいの魅力

フルーティな香りは、日本酒の飲みやすさを大きく左右する重要な要素のひとつです。この香りの正体は「吟醸香」と呼ばれるもので、主に2つのタイプがあります。

リンゴ・洋梨のような香り(カプロン酸エチル) 華やかで甘い香りが特徴で、前駆物質から考えて軽い甘さをもつものが多いです。甘さや酸味と相まってジュースのような印象を与えます。銘柄の例としては「獺祭」や「十四代」があります。

バナナメロンのような香り(酢酸イソアミル) こちらは比較的辛口傾向のお酒にも現れる香りですが、酸度とのバランスを巧みに調整することで飲みやすさを実現している酒蔵もあります。銘柄の例としては「黒龍」や「吉田蔵」が挙げられます。

これらのフルーティな香りは、日本酒への入り口として最適でありながら、慣れ親しんだ後でも飽きずに楽しめる奥深い魅力を持っています。この香りを出すために、米をよく削って酒質を綺麗にすることも含めて、飲みやすさに影響があると見て良いでしょう。香りがアルコールのツンとした刺激を和らげ、何度も口に運びたくなるのです。

飲みやすい甘口の日本酒がおすすめな理由

ここで日本酒の飲みやすさとして、軽快な辛口のお酒ではなく、甘口の日本酒をお勧めしてみようと思います。これらのお酒の飲みやすさには、科学的な理由があります。日本酒は酵母が糖を代謝する過程でアルコールが生成されるため、発酵を管理、調整することで糖分を残し、甘口に仕上げることができます。「甘さの作り方は、発酵を早めに止めるだけでなく、四段仕込みなど“糖を設計する手法”もあります。すなわち日本酒度がマイナス表示になっているお酒は、甘さを感じやすい傾向にあり、これが口当たりを含めて飲みやすさのもとになってくるのです。

甘口日本酒の飲みやすさの秘密

  • 糖分がアルコールの刺激を和らげる
  • 口当たりがまろやかで滑らかになる
  • 料理と同調させやすい

甘口の日本酒は、油脂分を切ることについては辛口日本酒ほど得意ではありませんが、口の中で料理と合わせて楽しむという点では非常に優れています。ただし、甘すぎるとデザート酒のように、かえって重たく感じることもあるため、バランスの良いものを選ぶことが大切です。

日本酒の甘口で高級なお酒って?

次によく磨かれたタイプのお酒をお勧めします。(やや)甘口の日本酒は、洗練された甘さと複雑ながらも綺麗な味わいが特徴です。単なる甘さではなく、華やかでありながら柔らかく、ジューシーな甘さを持っています。

代表的な高級(やや)甘口銘柄

  • 十四代」:言わずと知れた有名日本酒の一つ
  • 而今」:三重県の名門蔵が造る洗練された味わい
  • 栄光冨士」:山形県の新進気鋭の蔵元による現代的な日本酒
  • 獺祭」:比較的入手しやすい高品質な銘柄

これらの銘柄は特定名称酒として造られることが多く、米のきれいな旨味と共に卓越した技術が生み出す上質な甘さを楽しめます。

入手しやすい高級甘口酒を探すコツ

ただいまお勧めしたお酒は、日本酒に強い居酒屋などで試すことができます。酒販店で探す場合は、「柔らかくて滑らかなお酒はありませんか?」と相談することで、地域の隠れた名酒に出合える可能性があります。例えば「寒菊」のような新世代のモダンな甘口酒も注目です。

日本酒の甘口で有名な銘柄

ここからは、甘口の日本酒のおすすめの銘柄をご紹介していきましょう。

手軽に楽しめる甘口日本酒

  • 菊水ふなぐち」200ml(缶入り生原酒):度数は高めですが甘さとアルコール感のバランスが良く、手軽に楽しめる。よく冷やして飲むといい
  • 菊姫」の普通酒・純米酒:旨味も強めですが、それも含めて甘さとして感じられる

季節限定・特殊製法の甘口酒

  • 淡墨桜」:達磨政宗で有名な蔵。この蔵では珍しい熟成していないお酒という意味で珍しさがある。やや甘口
  • 尾瀬の雪どけ ロゼの雪どけ」「大盃 アールデコ」:赤色酵母特有の甘酸っぱさ

これらの銘柄は、甘口でありながらそれぞれ異なる個性を持っており、日本酒の多様性を楽しむことができます。特に赤色酵母を使用したピンク色のお酒は、見た目にも美しく、プレゼントや特別な機会にもおすすめです。

「菊水ふなぐち」200ml(菊水酒造)
https://www.kikusui-sake.com/home/jp/products/funaguchi/

自分に合った飲みやすい日本酒を見つけよう

飲みやすさは人それぞれの感覚に左右される部分も大きいですが、必ずあなたに合う一本があるはずです。普段アルコール度数の低いお酒を飲んでいる方でも、適切な飲み方や食事とのペアリングを工夫することで、日本酒の魅力を存分に味わうことができるでしょう。そのために、ビールのように一気に飲まず、舌先からゆっくりと味わってみることもお勧めしたいです。

日本酒の「飲みやすさ」の裏には、実は「快」を感じるかどうかが隠れています。近年は、低アル(10〜14%)やスパークリング、缶・ボトル缶など“入口のバリエーション”が急増し、「飲みやすい日本酒」の選び方そのものがアップデートされています。その人にとって心地よく感じる飲み方を見つけることができれば、それが真の飲みやすさにつながります。

今回ご紹介した飲みやすい日本酒の特徴、銘柄を参考に、ぜひ様々な日本酒を試して、あなただけのお気に入りの一本を見つけてください。

山内祐治(やまうち・ゆうじ)/「湯島天神下 すし初」四代目。講師、テイスター。第1回 日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMAコンクール優勝。同協会機関誌『Sommelier』にて日本酒記事を執筆。ソムリエ、チーズの資格も持ち、大手ワインスクールにて、日本酒の授業を行なっている。また、新潟大学大学院にて日本酒学の修士論文を執筆。研究対象は日本酒ペアリング。一貫ごとに解説が入る講義のような店舗での体験が好評を博しており、味わいの背景から蔵元のストーリーまでを交えた丁寧なペアリングを継続している。多岐にわたる食材に対して重なりあう日本酒を提案し、「寿司店というより日本酒ペアリングの店」と評されることも。

構成/土田貴史

 

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