
「人生100年時代」と言われ、一般的な定年を迎える65歳を超えても働くシニア世代が増えています。ですが、立場や雇用形態が変わっても、若い人や新しい年下の上司への態度が変わらなければ、職場でのコミュニケーションがうまくいきません。シニア世代が働くうえで大切なのがビジネスマナーなのです。
1000人超の60〜75歳の派遣スタッフを持つ高齢社がこれまでの事例や経験をもとに監修した『人には聞けない60歳からのビジネスマナー』(宝島社)は初のシニア向けビジネスマナー本。職場でのマナーをアップデートし、長く楽しく働き続けたいものです。
今回は、年齢差を感じる職場での人間関係の築き方についてご紹介します。たとえ定年前に部下を指導する立場であっても、新しい職場では新人であることを忘れないのがポイントです。
監修/高齢社
学ぶ気持ちを忘れない
かつてのリーダーも新たな職場では「新人」
定年前にリーダーやマネージャーとして多くの部下を指導したり、ときには厳しく叱ったりしていた人は、若い人に対して「仕事はこうするものだ」などと指導したくなるときもあるでしょう。
しかし、かつてのリーダーやマネージャーも、新たな職場においては「新人」です。そのため、積極的に若い人たちの話を聞き、学ぼうとする姿勢が求められます。
年齢差がある人の多い職場でよい人間関係を築くためには、素直に、誠実に、常に腰を低くしていることが大切です。
そうした謙虚な気持ちを示してこそ、周りの若い人たちも、素直に「経験豊富な人生の先輩から学びたい」という気持ちになるものです。
「まだまだ成長できる自分」を楽しむ
そもそも、お金のためだけに、いやいや働いていても長続きしません。
また、「現状維持ができればいい」といった後ろ向きな気持ちで過ごしていては、これからの仕事や人生を楽しむことができなくなっていきます。
現役時代は誰しも出世が気になるものです。また、住宅ローンや子どもの教育費など背負うものもあります。
しかし、定年後には、ほとんどの人がそうしたものから解放されます。年金も入ってくるので、「そこそこ稼げればいい」という人も多いでしょう。
定年後とは、そうした「自由を楽しめる時期」なのです。そのため、現役時代のようにがむしゃらに働いたり、学んだりする必要はありません。
自分のペースで学び、余裕を持ってゆっくりと「まだまだ成長できる自分」を楽しむ、といった意識や姿勢が、結果として長く働き続けることができる「自分」や「環境」をつくりあげてくれます。
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人には聞けない60歳からのビジネスマナー
監修/高齢社
宝島社 1,650円(税込)
高齢社
定年退職後も健康で働く意欲の高い人の多さに着目し、2000年1月に会社設立。登録社員25名でガス会社やガス機器メーカーの請負業務からスタートし、2002年8月に一般労働者派遣事業許可の取得により、高齢者の人材派遣業務に本格進出。2025年2月現在、派遣登録者数は1000人を超え、業務内容も100種類以上と多岐にわたる。経営理念として下記の4つを掲げる。(1)定年を迎えても気力、体力、知力のある方々に、「働く場」と「生きがい」を提供していく。(2)働く人を大切にする(社員≧顧客≧株主の人本主義)。(3)豊富な経験を活かし、顧客には「高品質・低コスト・柔軟な対応力」を武器に優れたサービスを提供していく。(4)「知恵と汗と社徳」重視の企業風土を醸成する。
