
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、「老害」と呼ばれるやっかいな社員を生まないための仕組みづくりについて考察します。
はじめに
間違いを認めない、昔話がくどいなど、周囲を不快にさせる高齢層を、近年では「老害」と呼ぶことがあり、中には40~50代の人が該当するケースもあります。では、このような人を組織内で生み出さないためには、「どのような仕組みやマネジメントをする必要があるのでしょうか。また、現状そのような人がいる場合は、どのような対応をすることが正しいかについて考察していきます。
「老害」とは?
組織の中で高齢メンバーが、自らの成功体験を後ろ盾に、下の世代のメンバーに自身の価値観を押し付ける行動を「老害」と言います。その結果、自分より若い世代に迷惑をかける、または周囲を不愉快にします。そのほか、年齢や経験を盾に実権を握り続ける人や、周囲の意見を聞かず迷惑をかける高齢者のことを指す場合もあります。
【具体的な行動】
・自分の考えや価値観を押し付ける
・高圧的な態度をとり、理不尽で怒りやすい
・昔話ばかりする(過去の武勇伝、成功体験)
・相手の話を聞かない
・新しいものを否定する
・話が長い(言いたいことを、ダラダラと話し続ける)
・セクハラ、パワハラなど、ハラスメントの意識が低い など
【老害による弊害】
・労働意欲や生産性が低下する
・モチベーションが下がる(部下や若手、後進が疲弊する)
・定着率が下がる(離職、異動願い、休職率が高まる)
・「あの人と一緒に働きたくない」という声が頻発する など
高齢メンバーが有益な存在となるために必要な2つのポイント
組織の中の高齢メンバーは、年齢や知識、経験値が豊富です。よって、マウント(相手よりも優位であることのアピールや、威圧的な態度をとる行為)を自然と取り易いのが実情です。ここで重要になるのは、自身の「立ち位置の理解(関係性)」と、「コミュニケーションの取り方」を正しく知ることが重要です。
正しい立ち位置を理解する
会社というコミュニティの上下関係は、上司は指揮命令者で、部下は実働者の役割であり、上司部下の違いは「責任の大きさ」のみです。そこに、年齢は考慮されるものではありません。上司には上司の、部下には部下の立ち位置があり、共に求められるのは成果を出すことです。
また、人にはそれぞれ自分の価値観があります。上司だからといって自分の考えや価値観を押し付けると、部下は「説明コストが高くて無理」(「言うメリット」<「言わないメリット」)となり、組織が硬直します。そして、多くは言われるがまま、上司の顔色を見て動くようになります。
そのため、「KGI=売上、利益など」、「KPI=客数、単価、頻度など」の基準を明確にし、事実で管理できる環境を整えて、上司部下間の正しいコミュニケーションを教育することが重要です。
上司部下間の正しいコミュニケーション
週次会議を例にして、上司部下の正しいコミュニケーションを見ていきましょう。
●週次会議で「上司が知りたい」こと
今週は「どんな結果(目標)」を、「どうやって(手段)」達成するのか、ということになります。知りたいのは、変えられない「過去の話(原因追及)」ではなく、変えられる「未来の話」です。
●週次会議で「部下がすべき」こと
今週は「〇〇の結果(目標)」を、「プランA(手段)」を実行して達成する、の承認を得ることです。過去の原因分析を終え、その結果を踏まえた相談や提案を行って、次週の約束をすることになります。
例えば、以下のようなイメージです。
部下:
先週は「目標10件」に対して「結果8件」、「未達2件」。「原因は××」です。
今週は「目標10件」に対して「プランA」で達成します。「根拠は〇〇」です。
よって、「プランA(提案)の承認」をお願いできますか?
上司:
承認または非承認を行う。
他に困っていること(欲しい権限やルール変更案)を確認し、 言い訳を取ってあげる。
(何がたりないのか? 何があればできるのか? を導き出す)
先輩・後輩・同僚間の関係性とは?
会社というコミュニティでは、役職が同じ先輩・後輩・同僚は同列関係であり、上下関係ではないので、できるのはアドバイスまで、となります。アドバイスを受け取った側は、実行するか否かは自身で判断する必要があります。
●情報の信ぴょう性について考えて発信する
自分の考えや価値観、昔話ばかりする(過去の武勇伝、成功体験)は注意が必要です。ビジネスでは、昔と今とでは環境が大きく異なるため、「私の若い時は(今から30年前)」の話をされても再現性が不明なため、客観的な事実(今も自分がやっていて、成果が出ている。もしくは、今も他人がやっていて成果が出ている、など)を添えて、相手にとって有益な情報に整理して、提供することが重要です。
まとめ
老害にならないためには、自身の「立ち位置の理解(関係性)」と、「コミュニケーションの取り方」を正しく知ることがもっとも重要です。
先輩・後輩・同僚間のコミュニケーションにおいて昔話ばかりするのは要注意。客観的な事実(今も自分がやっていて、成果が出ている。もしくは、今も他人がやっていて成果が出ているなど)を添えて、相手にとって有益な情報に整理して、提供することを心がけましょう。
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