近年、ワインやクラフトビールと並び、改めて注目を集める日本酒。「難しそう」「どれを選んでいいかわからない」という声も多いですが、実は想像以上に親しみやすいお酒なのです。今回は、日本酒の新しい楽しみ方と、おすすめの銘柄をご紹介します。

文/山内祐治

目次
日本酒初心者におすすめの選び方 〜まずは純米吟醸から始めよう〜
スーパーでも見つかる! おすすめの日本酒
甘口日本酒のトレンド 〜新しい味わいの世界〜
濃醇甘口の日本酒 〜デザートのような贅沢な一杯〜
淡麗甘口の魅力 〜すっきりとした飲み心地〜
まとめ 〜あなたに合った日本酒との出合いのために〜

日本酒初心者におすすめの選び方 〜まずは純米吟醸から始めよう〜

日本酒選びでお悩みの方へ。

まずおすすめしたいのが「純米吟醸酒」です。純米吟醸酒は、お米本来の味わいを活かしながら、同時に華やかな香りも楽しめる、バランスの取れた日本酒。価格帯も1,500円から2,500円程度の四合瓶(720ml)が一般的で、初めての一本として手に取りやすい位置づけです。

産地選びのポイントとしては、福島、山形、新潟の銘柄がおすすめ。これらの地域は、味わいの方向性が比較的わかりやすく、初心者でも楽しみやすいお酒を多く造っています。

特に日本酒を楽しむ際は、専門店での購入をおすすめします。最近では、商業施設内に日本酒専門店が増えており、「酒屋」「日本酒」「こだわり」などのキーワードで検索すると、身近な専門店を見つけることができます。「はせがわ酒店」や「IMADEYA」といった大手酒販店では、スタッフの専門知識を活かした丁寧なアドバイスも受けられます。

また、有料試飲ができる店舗も増えてきています。実際に味わってから購入できることは、初心者の方には特に心強いポイントでしょう。「日本酒 有料試飲」で検索すれば、質の高いお酒を置いているお店と出合えるはずです。

スーパーでも見つかる! おすすめの日本酒

実は、スーパーマーケットでも優れた日本酒に出合えます。大手酒蔵の定番商品の中にも、品質の高いものが数多く存在するのです。例えば「菊正宗 搾りたてギンパック」は、手軽に入手できる上質なお酒です。

特筆すべきは「(みお)」。発泡性の日本酒で、柔らかな甘みが特徴です。最初は懐疑的に見られることも多かったものの、実際に味わってみると、その品質の高さに納得する方が多いと思います。

スーパーで日本酒を選ぶ際のポイントは、「特定名称酒」を探すこと。大量生産の「普通酒」に比べ、大吟醸や純米吟醸などの特定名称酒は、より丁寧な製法で造られています。確かに量としては普通酒の中に埋もれがちですが、是非探してみて欲しいです。

甘口日本酒のトレンド 〜新しい味わいの世界〜

最近の日本酒トレンドとして注目を集めているのが、「フルーティーでほのかな甘み」を持つタイプです。ワイングラスで楽しむことで、その特徴がより引き立ちます。イタリアンやフレンチのオードブル、フレッシュチーズとの相性も抜群です。

特に人気なのが、柔らかい炭酸感のある微発泡の日本酒です。小ぶりのワイングラスで飲むことで、その繊細な味わいをより楽しむことができます。これらの日本酒は、従来の日本酒のイメージを覆す、新しい味わいを提供しています。

また、甘口日本酒の楽しみ方も多様化しています。冷酒で爽やかに、常温でまろやかに、そして燗をつけることで、また違った表情を見せてくれます。季節や気分、料理に合わせて温度を変えることで、一本の日本酒から複数の味わいを引き出すことができるのです。

濃醇甘口の日本酒 〜デザートのような贅沢な一杯〜

食後酒として楽しみたい方には、濃醇甘口の日本酒がおすすめです。フランスの貴腐ワインやソーテルヌを思わせる味わいで、「満寿泉」「旭興(きょっこう)」などが代表的。土田酒造の「K」は、デザートワインのような芳醇な味わいが特徴です。

濃醇甘口の魅力は、その深い味わいにあります。お米の旨味が凝縮され、まるでリキュールのような甘美な味わいを持つものもあります。チョコレートオランジェなどのスイーツとのペアリングも素晴らしく、特別な時間を演出してくれます。

また、寒い季節には温めて楽しむのもおすすめです。温度が上がることで、甘みと旨味のバランスが変化し、より深みのある味わいを楽しむことができます。疲れた夜のリラックスタイムに、至福の一杯となるでしょう。

淡麗甘口の魅力 〜すっきりとした飲み心地〜

淡麗甘口は、べったりとしない上品な甘みが特徴の日本酒です。「甲子(きのえね)」「寒菊(かんきく)」といった銘柄が代表的で、入手できれば「十四代」もこのカテゴリーに含まれます。北東北の地域では「赤武(あかぶ)」「大納川(だいながわ)」なども人気です。

さらっとした口当たりに、フルーティーな香りが加わった淡麗甘口は、現代の日本酒トレンドを代表する存在といえるでしょう。この淡麗甘口の特徴は、その名の通り“淡麗”さにあります。すっきりとした飲み口でありながら、お米本来の旨味と程よい甘みのバランスが取れています。特に冷やして飲むことで、その爽やかな味わいが際立ちます。

クリアな味わいが料理の邪魔をせず、むしろ料理の風味を高める効果があるためです。

まとめ 〜あなたに合った日本酒との出合いのために〜

日本酒の世界は、想像以上に広く、深いものです。初心者の方には純米吟醸から始めて、徐々に自分の好みを探っていくことをおすすめします。スーパーマーケットでも良質な日本酒は見つかりますが、酒販店で丁寧なアドバイスを受けながら選ぶのも一つの方法です。

甘口の日本酒は、特に入門として親しみやすい存在です。フルーティーで爽やかな淡麗甘口から、デザート酒のような濃醇甘口まで、様々なタイプがあります。それぞれの特徴を知り、料理とのペアリングを楽しみながら、自分好みの一本を見つけていくことが、日本酒を楽しむ醍醐味といえるでしょう。

気に入ったお酒は写真に収め、その味わいをメモしておくことをおすすめします。それが次なる素晴らしい一本との出合いにつながります。日本酒は、知れば知るほど奥深く、楽しみ方も多様です。

この記事が、皆様の新たな日本酒との出合いのきっかけとなれば幸いです。

山内祐治(やまうち・ゆうじ)/「湯島天神下 すし初」四代目。講師、テイスター。第1回 日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMAコンクール優勝。同協会機関誌『Sommelier』にて日本酒記事を執筆。ソムリエ、チーズの資格も持ち、大手ワインスクールにて、日本酒の授業を行なっている。また、新潟大学大学院にて日本酒学の修士論文を執筆。研究対象は日本酒ペアリング。一貫ごとに解説が入る講義のような店舗での体験が好評を博しており、味わいの背景から蔵元のストーリーまでを交えた丁寧なペアリングを継続している。多岐にわたる食材に対して重なりあう日本酒を提案し、「寿司店というより日本酒ペアリングの店」と評されることも。

構成/土田貴史

 

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