文/鈴木拓也

東京都港区にある「リストランテ アクアパッツァ」。イタリア料理好きなら、ご存知の方も多いだろう。

同店のオーナーシェフにして、日本におけるイタリア料理界の第一人者が日髙良実氏だ。その日髙氏が、このたび『イタリアンを極める 日髙シェフのおいしい理由』(世界文化社 https://books.sekaibunka.com/book/b10106985.html)を上梓した。

本書は、これまで出してきたレシピ本とは、やや趣を異にする構成。イタリアでの修業を経て、今の店で地歩を固めるまでに巡り合った料理のうち100点近く収載した、シェフ人生の集大成となっている。書名に「極める」とあるが、手間暇はさほど要さず、作りやすいものが主体。誰でも手軽に「おうちイタリアン」を堪能できる内容となっている。

今回は、本書のレシピから3点を紹介しよう。

「いわしのオレガノ風味」

若き頃の日髙氏が、最初に勤務したイタリア料理店が「りすとらんて・はなだ」。そこでは、シェフのルイジ・フィダンザに師事した。当時、この店の看板料理のひとつが、このいわし料理だったという。

でき上がった「いわしのオレガノ風味」(本書19pより)

【材料(4人分)】
・いわし(三枚おろし)……4尾分
・にんにく(みじん切り)……1片分

[A]
オレガノ……大さじ1/2、
パセリ(みじん切り)……大さじ2、
ローズマリー(みじん切り)……1/2本分

・パン粉*……大さじ3
・エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル(以下E.V.オリーブオイル)……適量
・白ワインビネガー……大さじ2
・塩……適量

*イタリアでは目の細かいパン粉を使う。日本のものは目が粗いので、ポリ袋に入れ、めん棒を転がして細かくする。ミキサーでは細かくなりすぎるので、めん棒方式がおすすめ。

【作り方】
1. いわしの両面に塩をふる。
2. ボウルにパン粉、にんにく、ハーブAを合わせ、E.V.オリーブオイル大さじ2を加えてよく混ぜる。
・オレガノは手のひらでもんで香りを立たせて入れるのがイタリア流。
3. 耐熱容器にE.V.オリーブオイルをひき、いわしの皮を上にして並べる。いわしが隠れるまで2のミックスパン粉で覆い、E.V.オリーブオイルを適量垂らす。
4. 200℃のオーブンで15分焼く。フライパンに取り出して強火にかけ、白ワインビネガーをふりかけて強い酸味を飛ばして火からおろす。
盛り付け:形を崩さないように皿に盛る。

「パンツァネッラ」

「りすとらんて・はなだ」のオーナーのつてをたどり、28歳の日髙氏はイタリアへ飛ぶ。フィレンツェの名門「エノテーカ ピンキオーリ」を皮切りに、イタリア各地の店を巡る修業を敢行した。「パンツァネッラ」は、トスカーナ地方の伝統料理。当地の店で修業中、大量のパンを水につける工程を初めて見た驚きは忘れられないという。

でき上がった「パンツァネッラ」(本書73pより)

【材料(3~4人分)】
・バゲット*……2/3本

[野菜]
フルーツトマト*……3個、
赤玉ねぎ……1/2個、
きゅうり……11/2本、
セロリ……2本

・黒オリーブ(種なし)……8~12個
・バジリコ(ざく切り)……2枝
・赤ワインビネガー*……約100ml
・E.V.オリーブオイル……約100ml
・塩、黒こしょう……各適量
・仕上げ――バジリコ……適量

*バケットのほかにバタール、カンパーニュ(田舎パン)などハード系パンが向く。
*トマトは、皮を湯むきし、種を取ったもの。
*赤ワインビネガーが、香りが豊かでおすすめだが、なければ白ワインビネガーや米酢でも。

【作り方】
1. バゲットに幅2cmくらいに切り、水に浸して10分ほどおく。
・小さく切ったほうが水のしみ込みが早いので、さらに半分に切っても。皮が柔らかくなるまで浸す
2. 野菜をひと口大に切り、黒オリーブは半分に切る。赤玉ねぎ、きゅうり、セロリの硬い野菜は塩(分量外)でもんでしばらくおく。野菜の水分が出てきたら、ペーパータオルで挟んで水分を拭く。
・通常の塩もみの塩加減で。これが塩味のベースになる。野菜から出た水分を残したままパンと合わせると、ペチャッとするので、拭き取るのがベター。
3. 1のバゲットを手で強く絞って大きなボウルに入れ、泡立て器でたたいて細かくつぶす。ここも水分の絞り方が足りないと味がぼける。
4. 3に2の野菜と黒オリーブを加え、塩、黒こしょう、E.V.オリーブオイル、赤ワインビネガーで味をつけ、へらでよく混ぜる。バジリコを加え、さっと混ぜる。
・塩味と酸味は、強めにきかせたほうが美味。パンがおから状になって野菜にからんでいるのがよいでき上がり。
盛り付け:器に盛り、バジリコを添える。

「あじと野菜のアクアパッツァ」

3年にわたるイタリア修業で、日髙氏に「最も強い印象を残した」のがアクアパッツァであった。この魚料理に「素朴で豊かなイタリア料理の真髄」を感じとったという。帰国後、学んだ経験をもとに、自分流のアクアパッツァを創作し、自身の店の看板料理とする。「あじと野菜のアクアパッツァ」は、もともとは魚のみで作るアクアパッツァに野菜を加えてアレンジしたもの。使う野菜は、さやいんげん、ズッキーニなどお好みで変えてもOK。

でき上がった「あじと野菜のアクアパッツァ」(本書179pより)

【材料(2人分)】
・あじ……大1尾
・あさり……6個
・ミニトマト……6個
・スナップえんどう……6本
・ブロッコリ……60g
・黒オリーブ(種あり)……20g
・ケイパー(塩漬け*)……10g
・パセリ(みじん切り)……大さじ1
・水……540ml
・E.V.オリーブオイル……適量
・塩……適量

*ケイパーの塩漬けは、水洗いしてから水に半日浸し、途中で2回ほど水を替えて塩出しする。水分を絞って使う。

【作り方】(本書では各手順に写真が付くがここでは割愛)
1. あじは、ぜいごとうろこ、ひれを取り、内臓を抜いて水洗いする。身の中央で筒切りにする。腹の中と表面に塩をまぶす。
2. ミニトマトはへたを取り、包丁の切っ先を2か所に刺して果汁を出しやすくする。
3. フライパンにE.V.オリーブオイルをひいてあじをのせる(盛り付けた時に表になる面を下に)。中火にかけて焼き始める。火のあたりにくい縁の近くは魚の片側を持ち上げ、全体を均一にこんがりと焼く。裏返しにして同様に焼く。
4. フライパンに残っている焦げた油をペーパータオルで拭き取る。水を360mlほど加え、強火にして煮汁を沸かす。沸いた煮汁をレードルで繰り返しすくって魚にかけ、火を入れていく。途中で水を90mlほど入れ、沸騰状態で3~4分続ける。
5. あさり、黒オリーブ、ケイパーを入れ、水をさらに90mlほど加える。あさりの殻が開くまで、煮汁を繰り返しかける。
6. ミニトマトと下ゆでしたスナップえんどう、ブロッコリを加え、温める程度に2分ほど煮詰める。
7. 煮詰まった水分量の1/3ほどのE.V.オリーブオイルを回しかけ、オリーブオイルと水分が乳化するまで、煮汁をくり返し魚にかける。
8. パセリをふり入れ、数回煮汁を回しかけてでき上がり。

本書の料理撮影:合田昌弘

【今日のおいしい1冊】
『イタリアンを極める 日髙シェフのおいしい理由』

日髙良実著
定価2970円
世界文化社

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。

 

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