京料理や野菜、湯葉、豆腐、和菓子など京の食材が上質さを保ちながら発展するのは、地下深くにたゆたう清らかな水の力といっても過言ではない。古から都を潤してきた京の水は、今も満ちて京の食を高めていく。

南禅寺 料庭八千代|南禅寺発祥の湯豆腐を名庭を眺め味わう癒しのとき

水の味が活きる京の豆腐に甘辛い出汁の味がよく合う。

湯豆腐は精進料理のひとつで、大本山南禅寺で発祥したといわれる。今も、南禅寺参道には、湯豆腐を供する料亭が並ぶ。『南禅寺 料庭八千代』の前身は、安土桃山時代の魚問屋。御所や大店の御用達として隆盛を極め、戦後、国学者上田秋成の隠遁所だった屋敷跡で料理旅館を開業した。現在は旅館と別に湯豆腐や懐石弁当を味わえる庭園レストランを営んでいる。

「ゆどうふ御膳(梅)」3500円。湯葉料理付きの竹4000円、さらに造りも付いた松4500円もある。

昼夜ともに味わえる「ゆどうふ御膳」は、湯豆腐に季節の八寸、精進揚げ、胡麻豆腐、吸い物とご飯。豆腐は、料理長が何種類も食べ比べて選んだ三条白川の『山崎豆腐店』謹製「白豆腐」。国産大豆と地下水を用い、にがりを加えた昔ながらの製法で作り、毎朝届けてくれる。

「絹ごしほど柔らかくなく型崩れしない白豆腐を昆布出汁でゆるりと火入れします」と女将の中西裕子さん。ポン酢ではなく、甘辛い出汁に生姜や葱、鰹節など薬味を加えて味わうのが南禅寺流だ。

東山を借景に琵琶湖疏水を組み入れた庭園を眺めながら味わう湯豆腐は格別なふくよかさ。肌寒い日も身体を芯から温めてくれる。

琵琶湖疏水を引き入れた池泉山水回遊式の日本庭園「青龍庭園」。7代目小川治兵衛が手掛けた庭で、池には鯉も優雅に泳いでいる。

南禅寺 料庭八千代

京都市左京区南禅寺福地町34
電話:075・771・4148
営業時間:11時~14時(秋は~15時)、17時~19時30分(いずれも最終注文)
定休日:無休
交通:地下鉄東西線蹴上駅下車、徒歩約5分

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