最近は随分と便利な世の中になったもので、スマートフォンの翻訳機能を活用すれば、海外旅行で困らない時代になりました。若い頃、流暢に英語を使えるようになりたいと辞書を片手に勉強したことが思い出されます。そんな頃を思い出しながら、もう一度英語の勉強をしてみるのもいいのではないでしょうか?
さて、今回紹介するのは「strike a chord」です。
目次
「strike a chord 」の意味は?
「strike」にはどんな意味がある?
「strike a chord」(心に響く)はどんなこと?
最後に
「strike a chord 」の意味は?
「strike」は(打つ)、「chord」は(和音)です。「strike a chord」は、もともとピアノやギターなど楽器の(コードを弾く、和音を奏でる)という意味ですが、そこから転じて
正解は…
「心に響く」という意味になります。
『ランダムハウス英和辞典』(小学館)には、「心の琴線に触れる」と書かれています。
「strike a chord」は「深く感動する」といったニュアンスよりも、楽器を奏でるように「心に響く。しっくりくる。心に共感を生む。」という意味があります。芸術、文学、または感情の動き、個人的体験と共鳴するような時に使われます。
このフレーズには「思い出させる」という意味もあり、人の話や経験が自分の思い出と重なって共感を覚える時などにも使います。一般的には「with + 人」として使われることが多いです。
「Her performance struck a chord with everyone .」( 彼女の演奏はみんなの心に響いた。)
のように使われます。
「strike」にはどんな意味がある?
「strike」には、いくつかの意味があります。文脈によって異なりますが、主な意味としては以下のようなものが挙げられます。
[動詞]
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)より引用
1 〈人・物を〉打ちつける
2 〈人・物に〉ぶつかる
3 〈人などを〉突然襲う
4 〈人の〉心を打つ
◆ 「強く打つ」が基本的な意味.強打から「攻撃する」へ広がる。人に「強い印象を与える」は心を「強く打つ」こと。
総じて手や物で急に打ったり、突然何かが起こるような意味合いがあるようです。日本語にもなっている「strike while the iron is hot. 」(鉄は熱いうちに打て)という表現は鍛冶屋さんから広まりました。
この物理的な意味から、心の動きを表す比喩的な意味合いは1600年代頃から使われるようになりました。1800年代に採掘場から広まった、「strike it rich」(思いがけなく大金を得る、大成功する)という表現などもありますね。
「strike」という単語は日常の動作から心の動きまで、広く使われています。
「strike a chord」(心に響く)はどんなこと?
先日、東京のアーティゾン美術館の展覧会を鑑賞した時のことでした。知人が展示の設計に関わったこともあり、なにげなく訪れた展覧会でしたが、その体験はまさに「strike a chord」(心に響く、しっくりくる)でした。
名画のコレクションで知られる美術館ですが、作品の解説文がまるで対話するかのように優しく語りかけてきます。額装や展示の設計、家具や照明の配置に至るまで、鑑賞者に寄り添うように繊細な配慮がなされており、そのキュレーションから情熱と愛情が伝わってきました。
ピカソやモネなど名画といわれる作品との距離が少し近くなったようにも感じました。「心に響く」というのは理屈ではなく、まるで心が優しく打たれるように、まっすぐ胸に届くことなのではないでしょうか。
日々、正解を求めて言葉を並べている自分がそっと溶けていくような、澄んだ心地よい体験は、私にとっての「strike a chord」でした。
最後に
いかがでしたか? 「strike」(打つ)には、悠々と考えを巡らせる時間はありません。ピアノの豊かな音色が響くように、言葉を超えて体で感じる体験は、貴重なものです。言葉や理屈は少し脇に置いて、真っ直ぐ心で感じるひとときに身を委ねるのも、時には大切かもしれませんね。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com