取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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パナソニックホームズ株式会社の「くらし研究室」では、「住まいの暮らしやすさに関する調査2024」(実施日:2024年6月27日~6月28日、有効回答数:全国20歳~69歳の既婚男女1030人、インターネット調査)を実施。三大家事(炊事・洗濯・掃除)に対してストレスを感じている理由を聞いたところ、「そもそもこの家事が苦手・好きではない」と回答した人は、炊事が39.5%で順位は1位、洗濯は28.0%で2位、掃除は46.1%で1位となった。三大家事の中で掃除が苦手、好きではない割合が一番高い結果となった。
今回お話を伺った悦子さん(仮名・42歳)は、家族の中に片づけられない者がいて、それに対してストレスを感じていた。
父と兄には収集癖があった
悦子さんは両親と3歳上に兄のいる4人家族。家族仲は良かったが、小さい頃から兄には収集癖があり、兄のその部分だけは嫌いだったと振り返る。
「小さい頃、私と兄は同じ部屋で、二段ベッドで寝ていたんですが、兄は下で、その周囲には物があふれていました。私にはただ散らかしているだけに見えていたんですが、兄にはマイルールがあって、物をちゃんと配置していると言っていました。私が片づけようとすると兄から手を出されることもあったし、兄は母親の掃除しろという叱りにはヒステリー気味に反抗していました。やがて母親は諦めたのか、部屋の散らかしには何も言わないようになり、私は兄と部屋を別々にしてもらうまではゴミの中で過ごしていました」
父親にも収集癖があったというが、父親はその物たちを大切にしており、綺麗に並べられていた。
「父親は年代もののミニボトルのお酒を集めていました。それらはショーケースのようなキャビネットに綺麗に並んでいて、父は定期的に専用の布巾で拭いていましたね。兄も集めているカードのレアものが出たときだけはファイルに大事に管理していたので、そこは父親に似たんだと思います。
私と母親は、収集癖にはあまり理解できないまでも、一緒に生活していくうちに何を言ってもムダだということはわかっていきました。もう自分のテリトリーにその物たちが浸食してこなければいいと思うようにしていたんです。そう思わないと、イライラが止まらなくてこっちがおかしくなりそうだったから」
悦子さんも兄も大学進学時に実家を離れていた。兄が家を出たことで実家は綺麗になり、悦子さんも1人で暮らし始めて自分の綺麗好きなことを再確認したという。
「兄の収集物の中で大切ではないけれど捨てられないもののほとんどを実家に置いていこうとしていたんですが、あまりの量に父親が怒って、家族で押し入れに入るだけの量に整理することになりました。兄の物を捨てるときは快感でした。実家は兄がいないからこれ以上に物が増えることなく、綺麗なままでしたね。
私は小さい頃からアレルギー性鼻炎持ちで、特にハウスダストアレルギーが酷かったこともあって、1人暮らしの家は綺麗を保っていました。実家に居たときは母親に言われて掃除をしていたから、もしかして自分1人になったら汚部屋になってしまうかもしれないと少し怖かったのですが、アレルギーもあって綺麗をキープできていました」
【兄は就職後の住まいに10年以上暮らしていた。次ページに続きます】