兄は就職後の住まいに10年以上暮らしていた
悦子さんは職場で出会った男性と28歳のときに結婚。実家から車で30分ほどの距離に暮らしていた。兄は34歳のときに同棲していた女性と結婚。兄のほうが結婚相手との付き合いは長く、結婚する前から家族ぐるみの付き合いがあったという。
「兄は勉強はできて、大学院を卒業しています。学生の間は学生専用マンションだったんですが、その後に大学時代から付き合っていた女性の家に移り住んでいました。だから兄は結婚相手の女性とは10年以上も付き合っていて、家族ぐるみの付き合いがあったんです。彼女時代から実家に連れてくることもあったし、私とももちろん面識がありました。
実家に来ることはあっても、彼女のほうの名義のマンションでずっと暮らしていたこともあって、2人が暮らす家には両親とも一度も行ったことがありませんでした」
兄夫婦は結婚してからも引っ越しをせずにそのマンションで暮らしていた。
「家の広さは1LDKで、まぁ2人で暮らしてはいけると思います。でも、結婚したし、2人とも社会人になってお金も持ったんだからもっと広い場所に引っ越したらいいのに、2人はそのままでいいと。引っ越しするのが面倒だと、兄夫婦は2人で口を揃えて言っていました」
しかし、兄夫婦が暮らすマンションは劣化で建て替えをすることになり、引っ越しを余儀なくされる。同じ時期に父方の祖母が亡くなり、実家と徒歩圏内にある祖父母宅が空き家になる。そこに兄夫婦が引っ越しすることになったという。
「祖父は若い頃に亡くなり、ずっと祖母がその家で1人で暮らしていました。お葬式のときに空き家をどうしようかと親族で話していたところ、兄が暮らしたいと言って、壊すよりもいいかととんとん拍子に決まっていきました」
祖母の家には思い出の品が詰まった納戸があった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。