取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

特定のアーティストやキャラクターを応援する活動「推し活」は昔こそ限定的な流行だったが、今や一般化しており、経済効果は拡大している。株式会社インタースペースが運営する情報発信メディア「ママスタセレクト」では、「推し活」についてのアンケート(実施日:2024年4月20日〜2024年4月21日、有効回答数:792人、インターネット調査)を実施。アンケートでは、「ママになっても推し活をしていますか? していましたか?」の問いに「している(していた)」と答えた人は全体の58.3%にのぼった。さらに、推し活をしていると回答した人へ年間の予算について聞いたところ、もっとも多かったのは「5万円未満」(68.5%)だったが、5.7%が予算「30万円以上」と回答し、「100万円以上」も5.1%存在した。

今回お話を伺った伸一郎さん(仮名・46歳)は31歳のときに2つ年下の女性と結婚、現在夫婦で暮らしている。伸一郎さんの妻は二度病気を患い、心が折れかけた二度目の病から妻の心を救ってくれたのが推し活だったという。

子どもを諦めて仕事にまい進していた矢先、がんが見つかる

伸一郎さんは学生時代に出会っていた女性と約10年の交際期間を経て結婚した。結婚したきっかけは「彼女が30歳になる前にしたいと言ったから」。2人揃って就職とともに上京しており、親族とは離れて生活していたこともあって、結婚後も特に生活に大きな変化はなかったという。

「大学のときに出会って、お互い都内で就職先を決めて一緒に上京してきました。上京した後は2年ほどは別々に生活したのですが、その後に同棲をして、結婚する前に少しずつ広い部屋に2~3年のペースで移り住んでいました。ずっと一緒に暮らしていたので、結婚を機に何かが大きく変わることはなかったです。妻のほうは手続きなどで大変そうでしたがね」

結婚してすぐに妻は子どもを欲しがったが、伸一郎さんは消極的だった。自然妊娠を望むも3年ほどできず、不妊治療に踏み切ろうとした。しかし、検査で妻に不妊の原因が見つかり、妻の意向で子どもを諦めた過去がある。

「私自身、結婚願望も特になく、子どもについても不妊治療までして欲しいとは思ってなかったので妻の意向に添いました。妻のほうも年齢的に子どもを作るなら早めのほうがいいと思って妊活をしていただけで、元は仕事人間なんです。『辛い治療をしてまで子どもを欲しいと思えなかった』と言っていました。

子どもについてどうしたらいいかと悩んでいた時期の妻はすごく辛そうでしたが、2人で子どもを諦めようと決めた後は元気になり、仕事を頑張っていました」

妻は勤め先を辞めて、フリーランスに。その後に資格取得のために通信大学に通うなど精力的に活動していた。そんな矢先、がんが見つかった。

「胸のしこりを見つけて、それががんでした。幸いにも転移はなく、数日の入院で部分切除すれば大丈夫とのことで、傷も胸の横側に少しあるだけで胸のかたちが崩れることもなかったんです。入院後は放射線治療や10年間も薬を飲み続けないとならないなどがありましたが、妻は気丈に振舞っていました」

【健康を過剰に意識するようになり、生活が一転。次ページに続きます】

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