2024年8月8日に日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震後、運用開始からはじめて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。一週間後には終了しましたが、この機会に我が家の防災対策を確認したという人も多いでしょう。とはいえ、何をどれだけ揃えたらいいのか、ペットとの避難はどうすればいいのか、悩ましいところですよね。
そこで今回は、これまで『サライ.jp』でお伝えしてきた防災対策に関する記事をご紹介します。これから対策をしようと考えている人はもちろん、日頃から備えている人も、適切な対策と心構えで、災害に備えましょう。
1:経験したからこそわかった、用意しておいた方がよい防災グッズ
実際に被災された方のアンケートをもとに、本当に役立つ防災グッズをご紹介。懐中電灯や手回し式のラジオ、現金(とくに小銭)、食料や飲料水、ポリタンクなどが多い中、意外と役に立ったグッズとして、サランラップと新聞紙が挙げられました。
サランラップはお皿としてはもちろん、止血したり防寒に利用できたりと、思った以上に役立つうえ、安価なので備蓄するのにおすすめです。新聞紙は防寒から着火剤、折りたたんで簡易スリッパ、ビニール袋と合わせて簡易トイレに使えるなど、まさに防災時の万能選手と言えそうです。
水を受け取るポリタンク、役に立つサランラップ…被災経験のある方に聞いた本当に必要な「防災グッズ」
2:防災グッズだけじゃない、地震に備えて整えるべき住環境
防災グッズを備えておくのも大切ですが、環境を整えておくことも重要です。アクティブシニアのライフサポートを行う株式会社ユメコム代表の橋本珠美さんによると、住宅の地震対策をすることでも被害は少なくすることができるそうです。
大きな家具は固定しておくのはもちろん、ガラスに飛散防止フィルムを貼る、出入口付近に高い家具は置かない、通路や出入り口付近に物を置かないだけでも、スムーズな避難に繋がります。自治体によっては、家具転倒防止器具の取り付けを無料で実施していたり、補助が出ることもあります。
災害時に慌てないために…実際に役立った本当に必要な「防災グッズ」リスト
3:シニア層が大半を占める「災害関連死」を防ぐ方法
大規模な自然災害で一番犠牲が多いのはシニア層というのをご存じですか? 2011年の東日本大震災や2018年の西日本豪雨で亡くなった人の約7割が60歳以上だそうです。さらに、避難先での体調悪化などによる「災害関連死」もシニア層が多く、2016年の熊本地震では災害関連死の8割を70歳以上が占めていました。
避難生活時にシニアが特に気を付けるべきなのは健康管理。慣れぬ避難先で食欲が落ちると、水分も摂らなくなり脱水症状に陥りやすくなります。さらに冷たい食事ばかり摂ることで起こる免疫の低下、避難所で座りっぱなしになる運動不足など。自分の身は自分で守るという心づもりが、災害関連死を防ぐ一歩です。
犠牲者の大半が60歳以上!災害関連死を防ぐには|シニアのための防災手帖
4:ペットとの避難で知っておくべき、同行避難と同伴避難の違い
災害時にペットを自宅に置き去りにせず、一緒に安全な場所へ行く「同行避難」は、ペットの飼い主の常識として定着しました。しかし、2016年の熊本地震の避難場所ではペットに関するトラブルが発生。その結果、環境省は2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」を作成、ペットとの同行避難と同伴避難について明確に定義されました。
ガイドラインによると、「同行避難」はペットとともに安全な場所まで避難する行為で、「同伴避難」は、被災者が避難所でペットを飼養管理することを指します。ただし、ペットが飼い主のいる部屋に入れないケースもあり、ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意しておく必要があります。また、健康面やしつけを含めた、ペットの平常時からの適正な飼養が、最も有効な災害対策になるとも記されています。
災害時、ペットと一緒に避難するには?環境省の改訂ガイドラインを読む
5:ペットの命を守るために押さえておきたいポイント
万が一被災した時、ペットのために何が必要なのか、普段からどう備えるべきなのでしょうか。『愛犬を長生きさせる食事』(小学館)の著者で、ノア動物病院グループ院長の林文明先生によると、「住まいの安全確保」「同行避難の備え」「非常食の準備」の3つがペットの命を守るポイントです。
防災グッズとしては食糧や薬の他、リード、タオル、ペットシーツ、古新聞とともにペットの写真を入れておくと、行方不明になった際も説明しやすいそうです。また、マイクロチップもおすすめ。林先生によると「阪神淡路大震災時に、マイクロチップを入れていた犬は、ほぼ100%飼い主のもとに帰ることができた」とのこと。
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2024年は1月に能登半島地震、4月に豊後水道地震、8月に日向灘地震と、大きな地震が続いています。いつ起こるかわからないからこそ、日ごろから備えて自身はもとよりペットの身も守りましょう。
文/編集部