リタイア後も社会と関わりを保つために、仕事をするという選択肢を選ぶ人は多いでしょう。しかし、やみくもに現役時代とは同じように働くわけにもいかないものです。
サライ世代が知っておきたいリタイア後の仕事のコツについて、弁理士の清水邦明さんの著書『定年後の生活を楽しむために』(発行:みなみ出版企画編集室 発売:星雲社)から、5つのポイントをご紹介していきたいと思います。
■1:現役時代に培った能力を活用する
現役時代は休日をとるのも容易ではない状況の中で、仕事に打ち込むことによって専門分野の仕事処理能力が培われます。こうして培われた能力が定年退職を境に低減し消減してゆくのは寂しいかぎり。可能であれば現役時代に培われた能力を定年退職後も仕事として生かしてゆきたいものです。
それを実収入に結び付けることができれば、それだけ生活にゆとりができ、より楽しい生活を送ることができるはずです。
■2:ストレスは避ける
定年退職後に自分の能力を生かした仕事ができれば、まだまだ世の中の役に立っていることに喜びを持てますし、人生に生き甲斐と張りを持つことができます。ただしストレスを感じながら行う仕事は生活を楽しむ域を脱しています。適度の緊張と気迫が脳の活性化に役立つことを心に留めながらほどほどに。
「私の場合は現役時代に特許事務所で弁理士として長年仕事をしてきたので、退職後は自宅を特許事務所として特許業務をしています。
しかし特許業務は各ケースが10年以上に渡り持続する業務ですので、中心的な打合せ・検討・書類作成は全て行い、手続のみ他の特許事務所に依頼する形式の仕事をしております」(清水さん)。
■3:ボランティアで満足感を得る
各地に60歳を超えた人が登録するシルバー人材センターがあります。そこに足を運び、自分の専門分野を生かした仕事を得るのも良いでしょう。
それ以外にも実収入を伴わないボランティアとしての仕事であっても、社会に役立つことに喜びを持てるのであれば、それも生きがいとなるでしょう。
■4:同世代をターゲットにする
昨今では65歳以上の総人口の占める割合は約25%、4人に1人が65歳以上の高齢者。70歳をすぎても元気な高齢者は非常に多いですが、これら高齢者には働きたくても働き口がないというのが実情ですので、高齢者が自ら高齢者をターゲットとしたビジネスを起業するのもよいでしょう。
ビジネスといっても大げさなものではなく、やりたいことを自分が責任を負える範囲でやってみる「ゆる起業」もあります。気軽にできるものとして、買い物に難儀をしているお年寄りのために6〜7人乗りの自家用車を使って、毎日定時に大型店舗まで買物ツアーに送迎するとか、足腰の丈夫な人であれば犬の散歩請負業とかパソコンに詳しい人であればパソコン教室、英語能力に長けた人であれば翻訳業などなど。1回1回の請負で仕事が完結する形式を考えると実践が容易になります。
■5:家事も仕事
最後の重要な仕事は家事です。掃除、洗濯、料理、買い物、家の修理など、夫婦で話し合い、効率よく家事ができるようにしましょう。これによって老後まで有意義に時間を過ごすことができるようになります。
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現役時代の職能を生かして働くことができれば、生活の糧になりますし、新たな自分の趣味などで身につけた技能でお金を得るのもまた生きがいとなることでしょう。その人なりに自分らしく働くことで、人生に彩りがもたらされるというものです。
【参考書籍】
『定年後の生活を楽しむために』
(清水邦明著、価格1430円、発行:みなみ出版企画編集室/発売:星雲社)
http://minamipub.co.jp/book.html#book014
文/庄司真紀