皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている人も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第70回のテーマは、「イライラして落ち込む『気滞体質』に合う漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、中田早苗さんに教えてもらいました。
気滞とは
些細なことでイライラしてしまったり、落ち込んでしまったり……。原因がよくわからない不調は不安になりますよね。その不調は、「気滞」が原因かもしれません。
漢方では、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3要素が体を構成していると考えています。そのなかの「気」の巡りが悪く、流れが滞っている状態を「気滞」といいます。
気とは、生きるうえでのエネルギーのようなものです。気が不足すると自律神経なども乱れ、様々な不調の原因になります。今回は、そんな気滞が及ぼす症状について解説します。
気滞の人にあらわれやすい症状
ここでは、気滞の人にどんな症状があらわれやすいかをまとめました。精神的な不調から体の部位の不調まで、多岐に渡ります。ひとつずつみていきましょう。
1.イライラ・怒りっぽい
気は喜怒哀楽といった感情、精神状態のコントロールに関係しているため、気滞体質の人はイライラしたり怒りっぽくなったりすることがあります。
気持ちが安定せず、感情が抑えられなくなるなど、神経症の症状が目立ちます。
2.憂鬱・落ち込み
イライラや怒りっぽさだけでなく、憂鬱な気分になったり、落ち込みやすくなったりするのも気滞の特徴です。
些細なことで悩んでしまい将来を悲観するなど、暗く沈んだ気分になってしまいます。
3.ガスやげっぷ
気滞は文字通り気が停滞する体質です。東洋医学では、胃や腸といった中が空洞の臓器に気がたまると考えます。
そして、そのたまった気が原因で、胃腸が張って、ガス(おなら)やげっぷが出やすくなるのです。
4.のどの違和感
気が停滞すると、のどに異物があるような違和感や、締めつけられるような痛みを感じる場合もあります。
また、水の代謝も悪くなります。体に不要な水がむくみとなり、のどの違和感の一因になるのです。
気滞体質の人におすすめの漢方
ここからは、気滞体質の人におすすめの漢方薬4つと、その効果や理由について解説します。気滞体質の人には、「自律神経の乱れを整える」「精神状態を安定させる」などのアプローチで根本から改善していきます。
1.怒りっぽい人には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安があり、動悸、不眠を伴う人に向いています。気の流れを整え、体にたまった熱を冷ますことで、イライラやヒステリー症状、不安、のぼせに用いられます。
2.気分の落ち込みには加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯は、顔色が悪く虚弱体質の人に向いています。気(エネルギー)と血(栄養)を補い、精神活動を安定させることで、精神不安、不眠、貧血に用いられます。
3.ガスやげっぷには半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏瀉心湯はみぞおちがつかえ、吐き気、食欲不振がある人に向いています。消化器系の不調に広く用いられ、とくにガスやげっぷなどがよく出る場合に適しています。
気を補い胃腸の機能を高めることで、食欲不振、消化不良、吐き気、胸焼け、軟便、下痢に用いられます。
4.のどの違和感には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏厚朴湯は、気分がふさぎ喉や胸につまりを感じる人に向いています。
ストレスなどによって滞った気の流れを正常化することで、のどの違和感や胸のつまり、咳のほか、動悸、めまい、神経不安、神経性胃炎などにも用いられます。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方には、西洋医学とは違う、独自の基準があります。体質や状態、症状のあらわれかたを示す「証(しょう)」と、不調の原因をはかる「気・血・水」です。
体質は人それぞれ異なるため、処方される漢方薬も違います。一見同じ症状でも、証が違えば処方される漢方薬は変わってくるのです。
重要な点は、正確な証の判断を行い、人それぞれに合う適切な漢方薬を服用することです。漢方を基礎から学んだ医師や薬剤師なら、正しい判断で患者さんに適切な漢方薬の提案を行えます。
しかし、「気軽に病院や漢方薬局に通えない」という人も多いでしょう。そこで役立つのが、あんしん漢方というオンラインサービスです。あんしん漢方なら、スマホ1台で、体質診断から漢方薬の購入まですべて完結できます。
あんしん漢方は、メディカルとヘルスを組み合わせた「メディヘルス」をコンセプトに掲げています。最新の漢方医学AIを駆使した高度な漢方薬のマッチング技術や、漢方サポートドクターによる個別サポートも魅力的です。
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気滞は気の滞り! 気持ちをゆっくりと落ち着かせて整えてみよう
今回は、「気滞」に効く漢方をご紹介しました。気滞とは生きるうえで必要不可欠なエネルギーの「気」が滞ることです。イライラや落ち込みといった精神神経症状や、のどのつかえなど、様々な不調の原因になります。
気滞による不調を和らげるためには、ストレスをためずにうまく発散させることも大事です。気持ちが落ち着かないときは、ゆっくり深呼吸して気の巡りを整えてみましょう。
さて、次回は「太り気味で汗っかきの『湿熱』に合う漢方」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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