高齢者の性と格差社会の明暗を描いた『茶飲友達』という映画が話題だ。公開初日は全国で1館だったが、わずか1か月で全国50館に上映が拡大した。物語は高齢者向け売春クラブが舞台だ。女性の肌を知り満たされていく男性客、貧困にあえぐ高齢のコールガール、低賃金で行き場のない若者……日本が抱える現実的な問題が描かれている。
今回の依頼者は、専業主婦の百合さん(55歳)だ。「同居している義父(80歳)が、頻繁に出かけており、“後妻業の女”にハマっているのではないか」と、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんのもとに来た。
元メガバンク役員、真面目一筋だった義父
百合さんは朗らかで明るい雰囲気の女性です。「いいところの奥様」という雰囲気で、ライトパープルのセットアップが似合います。夫は会社を経営しており、一人娘はアメリカのベンチャー企業に勤務中。
「ウチはみんな優秀で、私だけが地味なんです」とほほ笑んでいました。3年前から夫の実家の都内のマンションで、80歳になる義父と同居しているそうです。
「コロナになる少し前に、お義母様が75歳で亡くなりました。自宅で倒れたのに、お義父さんは同じ家にいたのに全然気づかず、何時間も経過してしまったんです。ウチの主人は“どうしてもっと早く気付かなかったんだ!”と怒ってましたけれど、どうにもならないですよね」
夫の実家のマンションは、老夫婦2人で住むには200平米とかなり広い。
「お嬢様・お坊ちゃま同士ですから、生まれ育った家が広く、狭い家に住めないんだそうです。そんな広い家にお義父さん一人で住まわせておくのは心配だと、お義母様のお葬式の後、私たちが同居することになったんです。リビング、ダイニングのほかに部屋が4つ、トイレは3基、バスルームは2室ありますので、同居のストレスはありません」
今回、様子がおかしいという義父について伺いました。
「ずっと銀行勤務で、アメリカ勤務などもしていました。超が付くほど真面目で、お義母様とは見合い結婚でした。主人は長男で、ほかに2人の娘がいます。役員になり、経営コンサルタントのようなこともしている超真面目な人です」
義父の趣味はゴルフと将棋で、将棋はかなりの腕前だそう。女性関係の浮いた噂なども全くなく、その潔白さもあって、社会的地位は高くなったのではないかと百合さん夫妻は考えているそう。
「真面目一徹のお義父さんへの反発で、主人は若い頃からやりたい放題。浮気もありましたよ……でも最近、心臓が悪くなり、男性機能がかなり低下し、やっと女遊びが終わったと思ったんです。そしたらお義父さんの問題が起こったでしょ。こんなこと、山村さんにしか言えませんよ」
百合さんは相当のうっぷんをためていたようで、夫が愛人を社員として雇っていることに対するいら立ち、娘の奔放な男性問題などについてもつまびらかに語っていました。娘はアメリカに住んでおり、父親不明の子供を2人産み、シングルマザーを続けていましたが、今は同性のパートナーと生活しているそうです。
「娘のパートナーは、ブラジル人女性で明るく楽しい方ですが、私からするとわけがわからない。でもそのことを言うと傷つくから黙っていますけれどね。普通にしていれば波風が立たないのに、あの人たちは何をやっているんだか」
【外泊を繰り返す義父……次のページに続きます】